今年も半年が過ぎた。
おかげさまでちょこちょこと現場に足を運ばせていただき、ライブからコンサートから舞台から劇場公演までおおいに楽しませていただいた。
そんな中昔から相変わらずどんな場所でも毎回気になっていることがある。
各会場で出くわす、そこで働くスタッフさんである。
もちろんたくさんの方の力でイベントが成り立っているのは知っているが、今回言及させていただくのはグッズ販売からお客さんの誘導・会場内での警備etc…つまりはきっと日雇いの方が多いんだろうなあ、というスタッフ。
要するに大半をバイトさんが占めているであろう業種のスタッフについて。
目次
「グッズ売り場でメンバー名をどう呼べばいいか」問題
こんな問題を抱えているのは私だけかもしれないが、もうずっと、毎回新鮮にそわそわしてしまう。
昨年久しぶりにジャニーズの現場、V6のコンサートに行ったわけだがやっぱりそわそわしてしまった。そわそわしてしまっている自分に対して「ああここに戻って来たんだな…」と実感したほどだった。
それが「グッズを買う時にメンバー名をなんと呼ぶのが適切なのか?」という私の中の深刻な大問題である。
普段呼んでいるとおりに呼ぶべきなのか。
苗字か?名前か?
「くん」付けか?「さん」付けか?
はたまたあだ名か?
例えば、「井ノ原くん」なのか?「井ノ原さん」なのか?「イノッチ」なのか?といった感じだ。
普段は好きなようにその時のテンションで呼んでいるメンバーの名前を改めて「グッズ売り場」というオフィシャルな場所でスタッフさんに向けて発さなければいけないとなるとふと考え込んでしまうのだ。
結構な年上やのに「くん」付け?いやまあジャニーズの伝統として「くん」付けはわりとポピュラーでおかしくはない…でもここは「さん」付けのほうが適切か…
いやでも「さん付け」したらしたで「こいつw改まっておるww」とか思われないだろうか…
浸透しているあだ名で呼んだほうがむしろわかりやすい?
でも、「いきなりあだ名ぶっこんでくるなんてこいつどんだけ強気なん?みんながみんなあだ名理解してると思うなよ」とか思われないだろうか…
と、我ながらそこまで悩まんでも、と思ってしまうくらい毎回この議題について頭の中で大会議が開かれる。
ちなみに列に並んでいる間ずっとこんな心境である。
久しぶりに並んだこのV6のコンサートの物販、うちわを購入する時にはスタッフさんが「◯◯さんのうちわですね!」とわざわざこちらを向けて確認してくれていた。
寝かしてではなくしっかり立てて。
こちらを向けて下さるということは自分の後続の方にも見えるということで、それすなわち言ってみれば「後続への自担晒し」のようなものである。
2人分買うと右手と左手に持ってこちらに見せてくれた。こうなるともう「後続への推しコンビ晒し」である。
ちなみに私の2つ前に並んでいた方は三宅さんのうちわを5〜6枚買っていたがそれは寝かして確認していた。いや、そこは立てへんのかい。
この時の私はというと、自分で買ううちわがどうしても決めきれずひとまず相方のお使いで井ノ原さん・岡田さんのうちわを買うべく購入列に並んでいた。
スタッフのお姉さんは井ノ原・岡田コンビのうちわをしっかりとこちらへ見せつけ販売してくれた。もうこれは一種のパフォーマンスである。なんだろうかこの気恥ずかしさ。
脱線した。
相当な数のお客さんを相手にしているのでまったく気にもとめておられないとは思うものの、私は毎回「みんな一体なんて呼んでるの?どう呼ぶのが適切?」と考えてしまう。
気になっていたこの問題についても探るべく、「コンサートスタッフ」を体験された方の感想について調べてみたところ、貴重なお話を載せてくださっている方がいらっしゃったので引用させていただきながらご紹介したい。
どちらもすごく興味深い内容で、その世界を知らない私からすると貴重な情報ばかりだった。
こちらの記事はジャニーズファンではない方が嵐のコンサートで物販スタッフをされた際のお話。
とりあえず嵐さんの人気やっぱりすごい。
公演日の前々日からグッズをプレ販売するとは一体…私にとっては想像できない世界だった。
そして想像はしていたがやはりというか、現場の修羅場具合も思い知った。
当然とも言えるのだが、スタッフさんはメンバー名を敬称をつけて呼ばなければならない。
となるとこういった事態だって発生する。
お客さんは櫻井君を「翔ちゃん」という人が多くて、それを私たちは「櫻井さん」と言わなければいけないので、最初のほうは頭がまわっていましたが、最後のほうになると、お客さんと同じように「翔ちゃん・・・」と言いながら商品を出してしまうのです。
「リーダーとぉ~」と言われた時も、(リーダー?)って一瞬止まって、(ああ、大野君か)。
「おーちゃん1枚」と言われて、(おーちゃん!?ああ、大野君か)。
「ニノ1枚」と言われて、「はい、ニノさん1枚・・・」と、(もうニノさんでいい気がする)と思いました。
私たちが普通にあだ名でスタッフさんにグッズをお願いすると、相手は頭の中で一旦正式名称に変換しなければいけない。
つまりはその分手間がかかるということ。
そう考えるとやっぱり苗字+「さん」付け、が一番手間を省けるのかもしれない。
さらにこちらの記事はジャニヲタさんがNEWSのコンサートで物販スタッフをされた際の体験談。
私は「『ゆうくん』のうちわください」って言われて、「『ゆうくん』って聞きなれないけど誰だ?・・・・・・・・・・・・、あ、手越祐也で『ゆうくん』か」と理解するまでに時間がかかってしまいました。
別の子は「『ひーくん』のフォトセットください」って言われて、誰のことかわからなかったから聞き返したら「山下智久の『ひー』です!!!」って軽くキレられたそうです。
『ひーくん』って山Pのことを呼ぶ人は少なくとも私の周りにはいないし、その理論で行くと増田貴久も『ひーくん』じゃないかwww
バイトの人が迷ったり聞き返したりする時間が無駄なので、ぜひとも分かりやすい表現で伝えてあげましょう。
これは私も瞬時に理解できる気がしない。
あだ名まで理解できていない人間にとってはもうこれはクイズだ。
そもそも「さん」付けか?「くん」付けか?の時点で迷っている私からすると、こんな強めのタックルを堂々とかませる人がいるのか…!というところにまず驚愕した。
生きている次元が違う。
私の中の大問題なんてもうそこらへんのカスくらいの小ささで、風が吹いたら飛んでいくくらい軽い。どっちでもいいし心底どうでもええ。
またこちらの記事では「メンバーそれぞれの人気によってあらかじめ用意されている量が違う」という実態も各メンバーごとのリアルな数量を添えながら触れられていて、それもなかなか衝撃的だった。
とにもかくにもただでさえ混み合う物販スペース、真夏や真冬の悪環境だったりすると並ぶ側の私たちもしんどいがスタッフさんにとってはもっとしんどい。ファンもスタッフも気遣いながらスムーズな流れとストレスのない環境を作れたらいいなと思う。
そのためにもスタッフさんがファンじゃなかったとしてもすぐに伝わる呼び方で、混乱させないように個人名をしっかり伝えるのがよさそうだ。
やはり「苗字+さん付け」がスタッフさんもオウム返しするだけで済むので優しいのかなあ…なんて考えていたが、ふと去年の物販スペースで気になったことを思い出した。
うちわを購入する時にふとスタッフさんのうしろを観察していると、仕切りのついた箱に各メンバーのうちわが収められそれぞれにラベルが貼ってあり、個人名がマジックで小さく書かれていた。
敬称部分の記憶があやふやになってしまっているのだが、そこには左から順に「坂本くん」「長野くん」「井ノ原くん」「剛くん」「健くん」「岡田くん」と順に並んでいて、
「えっ、剛くんと健くんだけは苗字じゃなくて名前??」
と内心つっこまずにはいられなかった。
「スタッフさんが把握するためのラベルなのにその2人は名前!?」と一瞬混乱したが、それくらいあのお二方については名前の印象が大きすぎるし、おそらく「剛くん」「健くん」呼びで注文される方が多いのではないか、と想像する。
でも結局確認の時には「森田さん」「三宅さん」と言わないといけないわけだろうし、逆に混乱するのでは…なんて思ってしまった。
会場内で立っている警備の方の目線が気になる
今年に入ってから行った、とあるライブでの話。
オールスタンディングの会場で端っこも端っこ、柵前あたりに陣取ることになった私の目の前にはライブ中ちょうどスタッフさんが立っていた。
それはもう死んだ魚のような目で。
オールスタンディングとは言えファンが大暴れするようなアーティストでもないのでほぼ立って見ているだけのお仕事にはなると思うのだが、もうその目は虫けらを見るかのごとき冷たさすら放っていて、なんとなく「ご、ごめんな…」という気持ちになった。
だからお願いそんな目で私を見ないで。
コンサートやライブで最前近くや通路横、オールスタンディングでも柵前や端っこのほうに陣取ることになった場合は自分の目の前にスタッフさんが立つ場合がままある。
こうなると私はものすごく気を使う。
そして気になる。めっちゃ観察してしまう。
開演する前には心の中で、
「ごめんやで…多分開演したらそれなりに手を挙げてみたり左右に振ってみたり手拍子してみたり身体中のありとあらゆる部位でリズムを刻んでみたり時と場合によっては飛んだり跳ねたりあるいはニコニコニヤニヤしたり泣いたりしてしまって『何こいつマジキモいんだけど〜』と思わせてしまうかもしれんけどご迷惑はかけへんさかい…少々辛抱してくれ…」と思う。
心の中で先手を打ったところで意味はないのだが、開演してしまえば目の前にスタッフさんがいようとも全力で楽しんでしまう自分がそこにいるのは想像がつくので先にこれからお見せするであろう多少の醜態について懺悔しておくのだ。ああ視線が痛い。
スタッフさんはもちろんお仕事でそこにいるわけで、これから2時間以上熱狂したファンたちを見ながら業務をこなさなければならない。
私たちにとっての楽しいお時間はスタッフさんにとってはお仕事の場である。
楽しい楽しいイベントに携わるお仕事なのだからそりゃあもう楽しいんだろうな、なんて子供のころは思っていたが、年を取るにつれてきっと大変なんだろうなと思うようになってきた。
もちろんお給料をいただく作業なのだから大変なことはあって当然なのだが、できれば気持ち良くお仕事をしてもらいたいしステージに立つ人に対しても、それを見に来たファンに対してもできるだけいい印象を持ってもらいたいなあ…と思ってしまう。
演出における落下物事情が気になる
ここ数年、演出で降ってくる物のクオリティが上がったような気がする。
銀テープも昔は無地であることがほとんどで、せいぜい色が何種類かある程度。
そこから少し進化してツアーロゴが入ることも多くなった。
そして今ではアーティストの直筆メッセージが印刷されていることも少なくない。
去年のV6の20周年コンサートではこんなメッセージが入っていた。
黒く見えるが銀色のテープである。
1本に全員分が印刷されていた。
さらにポルノグラフィティが15周年を迎えた時はこんな感じだった。
なんともご利益がありそうなテープである。
さらには風船なんかも降ってくる場合がある。
Perfumeドームコンサートにて。
あ〜ちゃんの風船は心優しい方に撮影させていただいた。
そもそも私自身は風船を取れなかったのだが、取れなかったなー…と思いながら出口に向かっていたらどこからともなく風船が飛んできて、持ち主を捜したが見つからず。
そこに「次はあなたが誰かの腕を引く番 のっち」と意味深な言葉が書いてあったものだから「何これ、お告げ?啓示ですか??」とおもわず笑ってしまった記憶がある。
落下物はナイスキャッチできなかったとしてもスタッフさんが配ってくれる場合もあり、お仕事とは言え本当にありがたい。感謝するばかりだ。
貴重なメッセージがかかれているため大なり小なり争奪戦になりがちな落ち物事情。
隣近所との微妙な戦いはあったりするが、拾うために自分の席からお出かけされてしまう方もいらっしゃるという。なんともおそろしい話だ。
こちらの記事には実際にその「地獄絵図」をスタッフ側として目にした方の感想があった。
果たして奪い合いの末、もしくはズルをして得た「それ」に意味はあるのだろうか。
たとえばそこにまっすぐなメッセージが書いてあったとして、ズルをして「それ」を手に入れた自分は嬉しいのだろうか。手放しで大喜びできるのだろうか。
そこに意味を見いだせない自分であり続けたいものである。
花道に落ちた銀テープを拾ってスタンド最前の方に渡し「うしろに回して」と指示していた井ノ原さんと、その言葉を受けてしっかり回していたファンを見てウワアア…!と感動した私としては、奪い合いではなくそういう気遣いで心温まる1シーンが生まれるための小道具としての銀テープであってほしいと願うばかりだ。
また同じことはメンバーが客席の通路に降りてきてくれたりした時にも言える。
通路側の席にいると、客席降りの直前にはスタッフの動きが慌ただしくなったりバリケードを張るためにロープが用意されたりとその後の展開が予測できることも多い。
この時のスタッフさんの緊迫感たるや。
そんな様子を見ていれば当然自席を離れようという気にはなれない。
マナー違反をしてメンバーに近づきお触りをしたところで、そこに何の意味があるのだろう。
終演後に早々に会場を追い出される理由
私もよくやってしまうのだが、終演後にボケーっとしているとスタッフさんに退場を促される。
それもそのはずでスタッフさんたちにはその後もお仕事があるのだから当然である。
これについても先ほどの記事で理由に触れられている。
コンサートが長くなればなるほど、解体する時間が長引く→決められた時間内に解体しなければならない→アルバイトを増やさなければならない→アルバイトの帰る時間が遅くなる→人件費(給料)が増える→スタッフ困る→公演時間に制限がある!という状況になる。ジャニーズでは、コンサート会場内からお客さんが全員出ないと解体作業ができない。そこは、かなり徹底されていて、きつくいわれる。なので、スタッフが大きな声で客出しと呼ばれることをするのだ。お客さんが会場内に居座るのは、本当にタチが悪いので、やめてほしい。できるだけ会場内を早く出て、会場外などで居座ってほしい。円滑に解体、清掃を行うためにお願いしたい。
私たちの楽しい時間は終わっても、その後にはステージの解体や清掃作業が待っている。
迅速かつゴミを残さず、「立つ鳥跡を濁さず」の状態でひとまずは外に出なければならない。
私たちはチケット代を払って楽しませてもらう側なので忘れがちなのだがすべての事柄にはお金がかかっている。
会場を借りるのにもお金はかかっているし人を雇えば人件費がかかる。当たり前のことだ。
会場を借りるのにいくらかかるかご存知だろうか。
平日と土日祝でも違う。
また公演日の前日からセットを組めばその日の分も料金が発生する。
たとえば、私が何度も何度も足を運び勝手にホームだと思っている大阪城ホール。
ホームページには利用料金が掲載されている。
本番日が平日であれば1日400万、土・日・祝なら500万円。
設備や備品も利用料が設定されている。
私たちに一番身近なものでいえば、たとえばアリーナの椅子。
あれは備え付けのものではないので毎回毎回並べられているが、1脚・公演1回につき180円だそうだ。椅子にまでお金がかかると知った時は驚いた。
仮に横70席・縦60列だと仮定すると、アリーナは4200席。
4200脚×180円として、75万6000円だ。
冷暖房料はアリーナ1時間3万円。
テレビ・インターネット中継料なんてものもあり、1日20万円。
そんなこんなで何をするにも料金が発生していることを肝に銘じておかなければいけない。
グッズやチケット代を落とすだけでなく少しのマナー向上でお手伝いできることがあるのならばぜひ貢献したいものである。
そしてもう1つ、会場内でのことで補足させていただくなら開演前・終演後のセットや場内を撮影するのはダメゼッタイ。コンサート・ライブ中以外も撮影は禁止なのでご注意を。
現場へ足を運ぶといたるところにスタッフさんがいる。
観る側も働く側もできるだけ気持ちよい時間が過ごせるように、ささやかな心がけを大切にしていきたいものだ。