2週間ほど前に突如発表された「WOWOW×V6」コラボプロジェクトが、8月に入りいよいよ始動した。
「WOWOW×V6 はじまる」のナレーションに思わず昂ぶるスタイリッシュなCMがお茶の間にも流れ始め、ああ本当に始まったんだなあと実感した。
【WOWOW×V6 Special Collaboration】
・WOWOW CM出演
・スペインサッカー17-18シーズン イメージソング担当
・トニセン出演「スポーツ真夏の祭典」(7時間番組)
・8/9発売のアルバムとの連動特別番組
・2017年コンサート 横浜アリーナ公演放送
・コンサート放送直前にスペシャル番組
・20周年ツアー最終公演を再放送
充実しすぎているそのコラボ内容に、嬉しいやらありがたいやら、いっそ与えられすぎておそろしいやら、いろんな感情が湧く。
その中でも今回は強く実感したことがあった。
「きっかけは、2015年に同局で放送されたV6の20周年ツアー最終公演。同局でジャニーズグループのツアーライブを最初から最後まで放送したのはこのときが初だったこともあり、視聴者からは大反響。「別の形でも放送して」といった声が殺到し、今回のスペシャルコラボが実現した。」
はじめてV6とWOWOWがタッグを組んだのは2015年、デビュー20周年を迎えた頃。
その時の放送が「好評だった」と……いや、ここは強気で言っておきたい。「大好評だった」、とのことで実現したのが今回の大型コラボレーションである。
それぞれがしっかりと応援する声を届ける努力をすれば、その声から生まれるものがある。
然るべきところにそれぞれがしっかり利益を与えていれば、それは多くの人の"本気"の証明になる。
ちりも積もれば山となる、ファンの課金が積もれば新たな嬉しいお仕事につながる。
今回のコラボはまさしくそういった仕組みの中でも「最良の結果」を具現化したようなものだ。
これを喜ばずして何を喜ぶ。
2015年、V6×WOWOW第1弾の反響
2015年の放送内容はというと、目玉はもちろんコンサートツアーの最終公演。
まさに20周年を迎えた当日に行われた特別な公演を、ディスク化されるよりも数か月早いタイミングで放送した。
さらに無料放送での「V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER- 放送直前スペシャル」と、V6が主演した映画「ハードラックヒーロー」「ホールドアップダウン」を合わせ4番組を一挙に放送。
その際の反響が大きかったことも度々話題になった。
有料BS放送のWOWOWは14日、昨年12月末現在の累計加入件数が283万8070件となり、平成3年4月の開局以来、最多となったと発表した。昨年末に放送された人気グループ「V6」のライブや、今月開催されるテニスの全豪オープンに錦織圭選手が出場する予定などが理由とみられる。
放送された2015年12月の加入者件数は当時の過去最多を記録。
また年度末の総括の中でもこの放送について触れられていて、年間を通して見ても評価されるほどの好成績だったことがうかがえる。
田中氏は、2015年度末の累積加入件数が280万件超となった背景について、「マニー・パッキャオ対フロイド・メイウェザーのボクシングタイトルマッチなど、大きなビッグイベントがあった」「ジャニーズ事務所所属のV6のライブツアーや、ラグビーの欧州6カ国対抗戦である『シックス・ネーションズ』などの新しいコンテンツを放送し、これまでWOWOWに加入していなかった新しい層にリーチすることができた」と述べた。
ネットニュースから得た情報でなんとなく「すごく反響があったらしい」ということは把握していたのだが、その実数についてはよく知らなかった。
この度コラボ第2弾が行われることになり、しかもそのコンテンツの充実っぷりを見ればWOWOWが本気で力を入れていることは一目瞭然だ。
では、WOWOWを動かすほどの反響とは実際どれくらいのものだったのか?
改めて2015年時の新規加入件数をグラフ化してみた。
V6の番組が放送された2015年12月の新規加入は69,885件。
月別で考えるとこの年度では2番目にあたる好成績だ。ちなみに、さらに上をいく数字を叩き出している2015年5月に何が放送されたのかというと、先ほど引用した記事にもあった「パッキャオvsメイウェザー ボクシングタイトルマッチ」である。
この数字のうち何件がV6目当ての加入だったかは一般市民の私には知る由もないのだが、はっきりしているのはこの69,885件分の1は私であり、もしくはそこのあなたであり、さらに井ノ原快彦というご本人が含まれているということである。
井ノ原「去年ね、WOWOWでV6のライブ放送して。恥ずかしい話入ってなかったんで、直前に入ったんですよ。あの、見たら見れたの、その前の俺たちのV6の映画やってて。で、左上に"お早めに加入してください"みたいなこと書いてあったから、『加入しなきゃ』ってなって電話で話してさ。名前言わなきゃいけないでしょ?」
坂本・長野「(笑)」
井ノ原「『今画面に何映ってますか?』って言われて、『なんか知らない映画が映ってますねえ』」
長野「なんか知らなくない、なんか知らなくないよ(笑)」
坂本「そん時入ったんだ(笑)」
井ノ原「『ん〜あの映画が〜』つって、『画面どんな感じですか?誰が今映ってますか?どんな人が?』みたいなこと言われて、『いやなんか暗くてちょっとよくわかんない…』」
坂本「どういうことだよ!(笑)」
井ノ原「ははは!(笑)ちょうど、あのホールドアップダウンかな?のやつで、ちょっと暗がりの中で戦ってるシーンだったから。『ああ暗くなってますねえ、はいそうですね』みたいな。で結局名前言うでしょ。で、今回何のために加入してくれたのかこのタイミングでって、聞かれるわけよ。」
坂本「そうそう」
井ノ原「でもう最終的に『えっとあの……V6の…(もごもごしながら)』」
長野「言ったんだ!正直に(笑)」
井ノ原「言わないと!やっぱりそりゃカウントされるでしょ!だって!」
長野「そうね(笑)」
井ノ原「V6を見るためにWOWOW入ってる人がいるってことを示さなきゃいけないから」
長野「本人ね、身をもってね。」
井ノ原「もう、一瞬の間があって。『V6の…』『……あ!それでしたら早くやんなきゃいけませんね!』つって。」
長野「はい」
井ノ原「『録画とかできますか?』とか言って。『ちょっとそれはわかんないんで…』…一応別でDVDもらってる、持ってるけども(笑)」
長野「チェック用のね」
井ノ原「『大丈夫です早く見たいんでね』みたいな感じで」
坂本「(笑)」
井ノ原「そんなこんなでねやっと加入しましたんで」
長野「名前言った瞬間反応なんかあったんですか?」
井ノ原「あ、まあでもどうだろう、向こうもそういうのわかってて反応しないでくれたんでしょうね。そしたらあの、送られてきましたよ。遅ればせながら。V6表紙のやつが(笑)」(※加入者に送られてくる番組表の表紙がV6だった)
長野「(笑)」
井ノ原「ええ。まあこれからちょっとね、見てね。結構便利でいろんなの見れますからね!入ってよかったな、なんて思ってますけどね!」
坂本・長野「(笑)」
井ノ原「もっと前に入っとけばよかったよ」
坂本「ちょっとお恥ずかしい一瞬でしたけどね」
長野「かけたタイミングもちょっとね、自分たちが出てるタイミングだったから(笑)」
井ノ原「バリバリ(笑)見る気満々じゃん!(笑)」
坂本「わかんないもんねどういうシステムで加入するかが。」
井ノ原「僕らはほら、ね、チェックのために一応もらってるから、それを見てあそこどうなったかな?とか。ここはこうではないかっていうのを直したところはどうなったかなみたいなチェックしたいけども。ね(笑)」
長野「(笑)」
井ノ原「やっぱ正規に入んなきゃそれはいけないわけですから」
長野「そうですね」
井ノ原「ねー…まあちょっと、そんなの堂々と言えばよかったんだけど、はずかしい…ちょっとね」
坂本・長野「(笑)」
坂本「多分向こうでは話題になってると思いますよ」
井ノ原「なってますかね(笑)」
長野「本人が(笑)」
坂本「『イノッチ入ったイノッチ』つって」
井ノ原「『もごもご言ってたぜ』つって」
長野「しかも自分の映画が流れてる時に」
坂本・井ノ原「(笑)」
井ノ原「恥ずかしかったです」
(「V6 Next Generation」2016年1月9日放送分)
コンサートが放送される直前、自分たちの主演映画放送中に自ら電話をかけて加入。
それも、「言わないと!やっぱりそりゃカウントされるでしょ!だって!」「V6を見るためにWOWOW入ってる人がいるってことを示さなきゃいけないから」と、自らV6目当てで加入したと主張しているのだからさすがである。
そして「カウントされるでしょ!」もおそらくはその通りで、カウントされているからこそ第2弾につながったのだろう。
WOWOW×V6、コンサート映像クオリティ
ところで、さきほどのトニセンの会話の中には「チェックのために映像をDVDでもらい、それに対して修正が加わっている」という節が見受けられた。
WOWOWでの放送にあたってファンが沸いたひとつとして「三宅さんが編集に立ち会う」という出来事があり、ご本人からはこんなふうに言及されていた。
マネージャーさんとの楽しげなやりとりより。
WOWOWのやつはもうある程度編集は編集の人に任せて。
まあいろいろあるわけですよやっぱり。エイベはやっぱりこう(放送で使わずにDVD用に)残したいじゃないですか。いい画は。いいショットは。
あの、もちろんDVDを、ずっと残るものだし放送しないしさ、盤になるものだからさ、いいものつくってほしいけど、WOWOWも良くしてほしかったの。絶対に。なんか、バランスをさ。
「WOWOWで使わない」みたいなさ。やだったから。
「もっと使って欲しい」って画を。ちょっと直せる所はもし直せるんだったらって立ち会わせてもらって…ていうんで行ったんだよね。
9時からスタートして、6時間くらいやってたもんな?気付けば。
(マネージャー)そうですね。3時まで。
気付いたら終わったの3時だったよな?
ビックリしちゃったよ俺。トイレ行く以外ほぼあのパソコンの画面に張り付いてたよな?
なあ?後ろで眠そうにして全然見てない!
(マネージャー)見てました!
嘘だよ絶対見てなかったじゃん!
「早くこの人終わらしてくれねーかなー」みたいな。
DVD化にあたっては更に良くしてほしいよね。うん。だから、難しいよなー、やっぱりこう。
本当は次撮る時はさあ、先に「ここはもう絶対抜いといて」っていうのを先に指示しておきたいね。確実に。「ここは絶対に外さないで」って場所をさ。
あるんだよなあ俺しか知らないヤツが。あるのよ。俺だけしか気付いてないヤツ。俺は見てないようで見てるよー。伊達に毎回コンサートの映像を俺は持って帰ってるわけじゃねえだろ?なぁ?そうだろお?毎回コンサート終わって2時間半か、あれ全部見てんだから。クソ眠い中!(笑)
そうだよ。だからみんなが知らないアングルにも気付けるわけよ…なぁ?
でもやっぱり良くなったと思うな、自分でも。
(「三宅健のラヂオ」/2015年12月28日)
本人たちの意見もしっかり反映されていた前回の放送。
WOWOWではいろいろなアーティストのライブが放送されているが、後に同公演がディスク化されることも多い。その場合には再編集されている。
作品として長く残っていくであろうDVD・Blu-rayディスクとは違い、放送は一過性のものだ。作品の質、というか手間のかかり具合として「放送<ディスク」なのだろうな、という概念は私の中でも自然と出来上がっていた。
三宅さんも言っていたように「いいショットはDVDのために残しておきたい」はレコード会社側からすれば当然の心理で、逆にそこにメスを入れて良いショットを引っ張り出してくるなんてことができるのか、と、ましてや編集に立ち会ってまで質を追求することができるのかとかなり驚いた。
コンサートの度に毎回録画を持ち帰りチェックしているという三宅健氏。
果たして前回言っていた、「ここは絶対外さないで」のアングル指示が実行に移されるのかというのも今年のツアーの映像化にあたって気になるところである。
坂本昌行×トニー賞に見たWOWOWの本気
そしてこの第2弾コラボが発表される少し前、2017年6月には坂本さんがトニー賞授賞式の生中継にスペシャルゲストとして出演した。
スペシャル・ゲストの #坂本昌行 さんがNYを訪れ、#トニー賞 直前の熱気あふれるブロードウェイを紹介する特別番組!
— WOWOWステージ (@wowow_stage) 2017年5月31日
『坂本昌行 ブロードウェイ・リポート トニー賞直前SP in NY』6/3(土)よる7時[無料放送]⇒https://t.co/9hFl211Lod #wowow
いよいよ明日!
— WOWOWステージ (@wowow_stage) 2017年6月11日
大注目のオープニングパフォーマンスは午前8時から😍#井上芳雄 さん& #坂本昌行 さんのデュエットでお贈りする映画『ラ・ラ・ランド』からの2曲メドレー🎹
「生中継!第71回 #トニー賞 授賞式」⇒https://t.co/9hFl211Lod #wowow pic.twitter.com/lFuPnP8O8F
直前SP番組は坂本さんがブロードウェイをリポートする30分。
…だったのだが、坂本さんがコーヒーを入れ朝食を取りジャケットを羽織りながら颯爽と部屋から出て行ったり、ジャケットを片手で背負いながら街を闊歩したり、ワクワク顔で劇場前の列に並んだり、街中でホットドッグを食べたり、部屋で自ら料理をして客人を迎え入れたり、心底楽しそうにミュージカルについて語ったりしていた。
坂本さんがブロードウェイをリポートしていたというか、こちらとしては単にWOWOWによって「坂本昌行 in NY」をリポートされた気分である。
なんだか少しオフのような空気を纏っていたことにより、サブタイトルに「〜坂本昌行ニューヨークの休日〜」とかなんとか付いていても成立してしまいそうな番組だった。
想像以上に坂本さんの個性に寄せた番組作りだったため、いい意味で「なんだこれは…!」と戸惑った。それはそれはかっこよく、時に少年のように笑っていらっしゃったのだが、こうもファンが望んでいるであろう絵面を次々と用意されるとそれはそれでそわそわする。
授賞式中継での歌唱シーンも同様だ。
話題の「ラ・ラ・ランド」から2曲メドレーを井上芳雄さんとデュエット。
まさかの坂本さんのピアノ演奏から始まりその伴奏に合わせ井上さんが歌唱、その後流れるように2人で並び歌とダンスを披露する、という貴重なパフォーマンス。朝8時から摂取するにはあまりにも濃すぎた。スッキリ短く表現するなら「最高」の2文字に尽きる。
めちゃくちゃ今更の話だが、WOWOWはガチでファンを釣りに来ている。
釣りに来ているしこちらも進んで釣られに行こうとしている節があるのでなかなかwin-winな関係なのでは?と、今日も満足げに釣られる私である。
始まったばかりの第2弾コラボだが、これを未来の第3弾につなげるためにはまたファンの声と確かな数字を出すことで証明しなければいけないのだろう。
こればっかりはだれか1人がどうこうできることでもなく、あちらこちらでの1人の頑張りが積み重なってようやく大きなものとして認識してもらえる。できれば前回のような大きな結果につながれば非常に喜ばしい。
特に今回このコラボが実現して何が嬉しかったかというと、その反響が評価されたことはもちろんなのだが「加入する」という行為が限りなく「1人1票」の権利に近いところにあることだ。
「1人によるたくさんの票」ではなく「たくさんの人の1票」が集まった結果なのだと思うと、なんだかいつも以上にニヤニヤしたくなる。
ファンをしていると、たまに猛烈にハイタッチをしたくなる瞬間がある。
1人では小さい力も寄り集まればいつの間にか大きな力になっていて、それによって生まれた何かに直面した時、私は猛烈にハイタッチをしたい。そう、まさしく今である。
そもそもそんなパーティーピーポーな資質は何一つ持ち合わせていないのだが、こんな時だけはとにかくハイタッチをしたい気分になるのだ。
こういう具合に。
それはお互いを労いたいというか、お疲れさまだとか、あるいは「やりましたな!」という謎のドヤ感であるとか、祝う気持ちだとか、とにかくそういうものがゴチャ混ぜになってギューっと圧縮されたこの感情を解消するにはどうすればいいのか。ハイタッチだろう。
ということで頭の中でハイタッチしている、つもりになっている。
我ながらちょっとよくわからないことを言っている自覚はあるのだがこういうのはテンションの問題なので、そっと「残念な人だな」と処理してもらえれば幸いである。
好きでいることは1人でも出来る。
誰かと一緒にエイエイオー!と声を掛け合って応援隊を結成するようなファンのし方はまったくしていないのだが、こういう風に結果を出せた時には私は勝手に一体感を覚えるし、意図せずして結託できたような不思議な感覚になる。
好きなものを前にすれば結局みんな横並びのようなもので、そんな中でみんなで喜べるような出来事が起こるとなんだかほんのちょっぴりお隣さんとの距離が近くなったような気がするのだ。
そういう瞬間が結構嬉しかったり、案外好きだったりする。
ちりも積もれば山となるし、ファンの課金が積もって新たな嬉しいお仕事を呼び込むことができるのならそれこそ大勝利と言えるのではないだろうか。
ということで、まずは今回のWOWOW×V6をおおいに楽しみつつ、できればまた脳内でハイタッチを繰り広げたくなるような結果につながることを願っている。
WOWOWさん、今後ともどうぞご贔屓に。何卒。