2017年春、V6のニューシングルの特典に「VR映像」が初導入されたのだがこれがとんでもない代物だった。
思わず誰かにこの感動を伝えたくなるほど鮮烈な体験だったので、初めての「スマホで楽しむVR映像」が一体どのようなものだったのか拙いなりにレポートしてみたい。
このVRなのだが発売される前からおおいに期待していた。浮かれ気分で書いた記事がこちらである。
予習はばっちり、余談だが私は今回このVRに合わせスマホを機種変更した。
V6が新曲にVRをつけることになったから、オンボロスマホを最新スマホに機種変更した奴がいるんですってよ。どうも私です。
— はま (@ltl_6) 2017年3月10日
実質ここに一番手間とお金がかかっているのは言うまでもない。
目次
STEP 1・スマホにアプリとコンテンツをダウンロードしよう
このVR映像特典は、V6が属するレコード会社であるエイベックスが「スマプラVR」という新たなサービスを開始したため実現した。
さらに今回のシングル「Can't Get Enough/ハナヒラケ」はこのサービスの中でも第1弾としてのリリース。誰も足を踏み入れていないコンテンツの最初の一歩になったのだと思うとなんだか嬉しい。が、重要なのは質だ。それについては後述する。
本題に戻り、まずはスマホにアプリとデータをダウンロードする。
データ容量はこんな感じ。今回配信のVR映像は2種類あり、各4分程度でこの容量。
開始してまもないサービスともありフラゲ日には早々にトラブルに見舞われた。
https://twitter.com/sumapravr/status/841630616038719490
むしろこちらこそフラゲ日から全力で群がってしまい、なんだか申し訳ない。
しかしそれほど楽しみだったのだ。とにかく期待が高まりすぎてもう早く見たかったのだ。
不具合はほどなくして解消され、中の人のすばやい対処に感謝である。
そんな不具合に加えて我が家のWi-Fi環境ではダウンロードに時間がかかる上に途中で止まる事態が続発。一応再生はできるのだが途中で映像が止まってしまう。
これについては「Wi-Fiを使わずにダウンロードする」という力技で解決した。データ通信量は食うが一刻も早くVRにたどり着くためには仕方ない。
Wi-Fi接続を切りダウンロードし始めたところ「さっきまであんなに時間がかかっていたのはなんだったの…?」と拍子抜けするほどあっという間に作業が完了した。
STEP 2・付属ビューアーを組み立てよう
今回のCDにはVR映像を見るためのビューアーも付属されている。
名称上ではビューアーなのだがゴーグルといったほうがわかりやすいかもしれないし、形式的にはスコープと言えよう。
つまりこのVRを見るにあたり必要なのは、特典付きCD(1,944円)とスマホだけ、ということ。
CDを開封すると異様な存在感を放つ付属ビューアーが出てくる。
黒を基調としたオリジナルデザインに両目に当てがう為のレンズが2つ。
広げた状態では仮面のようにも見えて「これをつけて妖しい儀式が行われていても違和感ないな…」などと余計なことを考えてしまった。組み立て後にこのビューアーを覗き込み大興奮している様を思えば「妖しい儀式」でほぼ合っている気がする。
さて、このビューアーを子供の頃よく見かけた雑誌付録のような要領で組み立てていく。ちょっとした工作のお時間である。
仮面のような形から箱型へ。ここにスマホを置き、
左右についているマジックテープで固定する。
これでビューアーは完成である。
あとはスマホで映像を再生しレンズを覗き込めば、そこはVR(バーチャルリアリティ)の世界だ。
「Can't Get Enough」ダンスVRの感想
両A面のうちの1曲「Can't Get Enough」。
ジャニーズ事務所所属の彼らはMVさえ公式でインターネットに上がらない。ここに動画を貼れないのが残念だが、かろうじてSPOT映像のみ見ることができるので以下リンク。
V6「Can't Get Enough」SPOT
公式サイトには「かっこよさを追求した攻めの大人なダンスチューン」ともあり、まさしくその言葉通り。
ファルセットと低音で構成された歌声と、派手な技を決めるわけでもなければ激しく踊り狂うわけでもないのに惹きつけられてしまうダンス。3脚の椅子をスマートに移動させながら巧妙に振りに取り入れている姿も含め、まさに大人かっこいいV6。
歌割りも複雑、また低音パート・ファルセットパートでコンビになっていたりと誰がどこを担当しているのか聴き分けるだけでも「なんなんだこれは…!」とおおいに振り回される。
デビュー22年目のV6、攻めている。
攻めていながらも歌詞カードにはちゃっかりメンバーの歌割りも記載されていたりして、痒い所に手が届くような抜かりのないこのサービスっぷり。ありがたい。
そんな「Can't Get Enough」のVRはもちろんダンス映像だ。
最前列よりもさらに前でV6のダンスを見る、そんな仮想現実の世界。近い。あまりにもV6との距離が近すぎる。
どれくらい近いかと言うと、ビューアーを覗きながら思わずのけぞって距離を取ろうとしてしまったほど。
VRの視点は上下左右には振れるし後ろを振り返ることもできるのだが、あくまで定点なので体ごと移動することはできない。
つまり私が前に進んでも彼らには近づけないし、後ろに下がっても距離は取れない。
にも関わらずそんな動きが思わず咄嗟に出てしまうくらいのリアリティがあった。
奥にいるメンバーはしっかり遠くに感じる分、奥から手前に来た時に「こっちに来た…!」という感覚もあって、近づいてくる時のドキドキといったら。相手は映像なのにここまで感情を高ぶらせてしまった自分に苦笑いである。
そんな遠近のリアリティに加え、もう1つ感動したのは「大きさ」と「造形」のリアリティ。
V6は163cmの森田さんから175cmの坂本さん・井ノ原さんまで身長差も大きい。バラバラな6人のフォルムの差はグループとしての魅力でもある。
グループとしてフレームに収まった時、その特長に優劣をつけて「比べる」わけではなくて、それぞれ違うからこそ各々がより引き立って見える。
写真だろうが映像だろうが常々思っていることなのだが、VR映像では特にそれが色濃く出ていてなんだか泣きそうな気持ちになってしまった。
今回のVRで感じた感情の1つとして「剛くんちっちゃい!!!」というのがあった。先に言っておくがもちろん悪口ではない。むしろ最たる感動の類いだ。
森田さんの身長が低いことは今更さして触れるまでもなく、あのフォルムが森田剛であるし、あのフォルムでなければ森田剛ではない。あのフォルムだからこそ好きなのだ。
ちっちゃいというのは言葉が悪いかもしれない。しかしそんな「ザ・森田剛」なフォルムはあまりにもリアルで、実像ではないのに「本当に小さい…!」と、まるで本物を見たかのような感想を抱いてしまった。
メンバーそれぞれに、頭が小さい!だとか、足が長い!だとか、腰が細い!だとか、挙げ始めればそれこそキリがないほど「身体的特徴」の生々しさを突きつけられた。
それもVR特有の圧倒的にリアルな奥行きのせいで、こればっかりはビューアーを使って体感してもらわないことには伝えられない。
実際に自ら体感した今「とりあえずこれ覗いてみて!」とビューアーを手渡したい気持ちでいっぱいである。すごすぎてとにかく誰かに見せたい。
この映像はMVとは別モノなのだが、大きな違いはやっぱりアングル。
アップや引きのさじ加減・モノクロ加工など、クリエイターによって画的に映えるように美しく構成されたのがMVとするなら、このVRはいたってシンプル。
目の前でひたすらにメンバーが踊る。それだけだ。
でも実はシンプルなそれこそが「踊る」ことを武器としているグループを見る側としてもっとも求めていることなのかもしれない。
リアリティを求めていけば、結局のところ「シンプル」に行き着くのだろう。
「Can't Get Enough」のVRは、「踊っている姿を目の前で見たい」という夢をかなえてくれる映像だった。踊るグループ×VRはあまりにも相性が良すぎる。
目の前で踊っている6人に対してどこに目線を向けるかも自分次第。
あまりにも距離が近すぎて、右端に目線を振れば左端にいるメンバーは見えない。近すぎるゆえに死角が出来てしまうのだ。
目まぐるしく入れ替わるフォーメーションに思いっきり翻弄されてしまった。
例えば左から右へ移動するメンバーを目で追っていると、正面に目線を戻した時には別のメンバーが目の前にいたりする。心臓に悪い。
どこを見ても何かしらのかっこいいが繰り広げられていて目が足りない。この感覚はコンサート会場で直面するそれと同じだ。
しかしVRは映像なので繰り返し何度も見られる。「今回はあの人だけを追いかけるぞ!」という意気込みで何度も挑戦できるのだ。
それなのに私はやっぱり何度もあちこちに視線を奪われてしまい、一向に目線が定められない。なんておそろしいグループだ。
目線が自由に変えられるため、自分が「誰に/何に」反応してしまっているかがわかりやすいことも面白かった。
またこの映像のおそろしい罠の1つとして「曲が終わった直後」を挙げたい。
1人ずつフレームアウトしていくのだがこちらに歩いてきて「私」に視線を向けながら目の前を通過していく。
間近で目が合ったようで思わず硬直してしまった。
「足跡」レコーディングVRの感想
こちらの曲はいわゆるカップリング曲。A面でこそないが、ピアノの旋律でぽつりぽつりと語りかけるように始まり「これまで」と「これから」をあたたかな視線で、俯瞰で見守るような歌詞に思わずグッときてしまう。
こちらのVR映像はさきほどとは対照的なレコーディング風景。
ただしずっと同じメンバーを眺められるわけではなく、1フレーズごとにメンバーが切り替わっていく。
マイクに向かって歌うその真横に立ち、その横顔を見守るような仮想現実の世界だ。
この「私」の立ち位置が正面ではないところがまたニクイ。あえて隣に置くあたりほんとうに巧妙な手口である。
基本的には横顔を眺め続けるのだが、かがんで視線を合わせて覗き込んでくるメンバーがいたり、こちらに「飲む?」とばかりにペットボトルを差し出してくるメンバーがいたり、歌唱中に不意打ちでいきなりこっちを向くメンバーがいたり。
「私」の目線の高さはメンバーよりも低く。彼らを若干見上げるこの設定、女子的にはかなりときめくのではないだろうか。
ちなみに個人的にはこのVR、立ち上がって見ることをオススメする。座って見るよりも格段にリアリティが増すのでぜひお試し頂きたい。
このVRを見ていると、昨年惜しまれながら終了したV6との恋愛を楽しむゲーム「ラブセン」のことが思い浮かんだ。
このゲームではメンバーの写真を使いながらリアルなようでリアルでない恋愛ストーリーが展開されていた。
私はそれをもっぱらツッコみつつ、言ってみれば恋愛要素に完全にのめり込むでもなく楽しんでいた。楽しめていた。バーチャルの彼らに照れるでもなく、そういう意味ではわりと冷静だった自負はある。
ところがどっこい、今回のVR映像ではこともあろうに、いとも簡単にがっつり照れてしまった。そんな自分がいたことが軽くショックである。
最先端の技術に私は敗北した。
圧倒的なリアリティの前では、人はあまりにも無力だったー。
…かっこよく言ってみたが要するに、好きなアイドルが近くにいるようで照れてしまっただけのことである。
イタさは重々承知している。早急に穴を掘り謹んで埋まらせて頂きたい。
今回のこのVRでは「V6の隣に立つ自分」は控え目にレコーディング風景を見守っているだけなのでおとなしいものだ。
しかしもしも恋愛ゲームに本気のVRが導入されたら…と想像するとこわくなった。
最先端の技術の前には、おそらく冷静さは通用しないのだ。VRの無限の可能性を感じると共に、あまり発達されすぎるととんでもない世界に引きずり込まれてしまうかもしれない…という一抹の不安も生まれた。
この曲のVR映像も歌い終わってからのメンバーの行動がおもしろい。
360度ぐるっと見渡せるのだが、メンバーの動きを追いかけようと視線を動かしていくとぐるぐる回ってしまうのだ。
仮想現実の中でおちゃめな動きを見せるメンバー、翻弄される私。
ただし現実では部屋の中でビューアーを覗きながらぐるぐる回っている私がいるだけだ。
もしニヤついていたりしたらなおのことただのヤバイ奴でしかない。
2種類のVRを総括してみると、かっこいい姿に釘付けになったり、かわいい姿にニヤけてしまったり、思わずのけぞってしまったり、ぐるぐる回ってみたり、照れてしまったり、そんな自分を俯瞰で考えて複雑な気分で苦笑してしまったり。
感情が溢れてしまって、いろいろと伝えたい感想があるのに第一声で「スゴイ」しか出てこないのだ。
とりあえず興奮していろんな言葉が氾濫し、そんな感覚を全部集約する魔法の言葉が「スゴイ」である。
V6/Can't Get EnoughのVR感想、ちょっ、えっ、おおっ、うわわわ、オイオイオイ、おお〜〜っ…の後「これは踊るグループが好きな全人類に一度見て頂きたい…!!」と思った。キレキレのダンスを客席最前列より前で見て、近すぎて思わず後退しそうになっちゃう感じ、スゴイ。
— はま (@ltl_6) 2017年3月14日
とにかくスゴイのだ。
今回V6のVR映像を体験して、V6のファンとしての自分は「こんなとんでもない特典をいち早くつけてくれたことが誇らしい」とさえ思った。うっかり自分の功績のように自慢したくなってしまうほどには最高の出来だった。
それと同時に「これは他のアーティストやアイドルでも見たい!V6うらやましい!」とも思った。
自分のことのように嬉しく、他人事のようにうらやましい。一度体験してしまったらVRの手法でいろんなものを見てみたくなった。
現実世界で最前列でコンサートやライブを見ることは難しいが、VRがあればその世界をだれでも覗けてしまうのだ。そんな技術、導入してほしくないわけがない。
正直なところ無知な私は「VR」は主にゲーム業界において活かされ進化していく技術だと思っていた。
VRは、音楽業界においても今後もっと導入されていくべき技術だった。
まあ結局のところ私が今たしかに言えることは、初めてのVRを大好きなアイドルで体感できた自分は幸せ者である、ということくらいである。
あとは、興味がある方はこの想像を上回るバーチャルリアリティ・V6をぜひ体感していただきたい。
ちなみにV6のVRはセブンネット限定盤商品で数量限定なので、興味がある方はお早めに。
導入されたばかりの音楽×VR、これからどんどん普及していくことを願うばかりである。
VRとは話がズレるがV6の新曲発売は昨年6月以来、実に9ヶ月ぶり。今回はそれに伴う雑誌露出が多すぎて軽くパニックだった。
anan (アンアン) 2017/03/22[新生活に欲しいもの]
ザテレビジョンCOLORS vol.29 Blooming PASTEL
これ以外にもとにかく、表紙・表紙・表紙。
こんなことを思うのはファンの欲目だろう。それを念頭においてもついついこう言いたくなってしまう心情を、どうかお察しいだたきたい。
平均年齢40歳のアイドルグループ・V6、ここへ来てまた一段と売れかけている。