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ループ ザ ループ。

V6デビュー20周年という節目に戻ってきたアラサーがいろいろと本気出して考えてみるブログ。基本V6の話、でも書きたいことを気ままに。

39 Symphonyに込められた意味とストーリー性を考察してみた


「39 Symphony」とは何か。

 

V6の20周年コンサート「V6 LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995〜FOREVER-」、その後半約40分ほどを占める怒涛のメドレーのことだ。

 

20年間で彼らがリリースしたシングルは45枚ある。

そのうち39曲を、これでもか!と詰め込んでミックスされたこのメドレー。

 

聴けば聴くほどに唸りたくなるこの素晴らしさをどうにか記事にしておきたいと、私なりに少し考えこんでみた。

 

 

 メドレーについて考える前に予備知識として

このメドレーを制作したのは、V6ファン界隈では知らない人はいないであろう「にしこりコンビ」。

西寺郷太氏とcorin.氏である。

 

このお二方の存在がどれだけV6にとって大きいのかというと、以下に貼るリンク先のインタビューを読んで頂けるとわかりやすい。

 

2012年シングル「kEEP oN.」発売時の記事ではあるのだが、語られているのは楽曲についてだけではない。

タッグを組むに至った経緯から彼らが語るメンバー論まで、ファンなら実に興味深い内容ばかりだ。

 

このインタビューには「V6メンバー論 INDEX」として、以下の文言が並ぶ。

坂本「プロフェッショナルな侍」

長野「ジャニーズを知り尽くした"ジャニージー"な人」

井ノ原「V6のために君が目立ってくれ」

森田「V6の顔であり天才」

三宅「とにかくもう、ホントかわいい」

岡田「低音から高音まで駆け上がるときのカタルシス」 

これを見ただけでも思わず「おおお…!」と唸ってしまう。

 

「どんだけこの記事を宣伝するんだお前はどこかの回し者か?」と思われても仕方ないのだが、とにかくもうぜひ読んでいただきたい。

 

むずかしい専門用語が並ぶような「制作面」だけのお話ではなく、とてもわかりやすい「音楽制作者として、共同作業者として見たV6」、彼らの理解者としての側面がとても濃いのでスラスラと読めてしまう。

 

にしこりコンビとV6の関係性。

 

「39 Symphony」に込められたものを読み取るにあたり、この知識をインプットしておくことはとても意味があるように感じた。

 

 

目次

 

 

メドレーができるまで

ここからは西寺郷太さんのブログで語られた内容に少し触れながら考察してみたいと思う。

 

7月31日、ツアーの初日を約1ヶ月後に控えたタイミングで郷太さんのもとへ「39曲をひとまとめにしたメドレー」を「約40分」にまとめてほしいという依頼が届く。

 

翌日8月1日、稽古場でメンバー・スタッフとミーティング。直接プランを聞き、構想を話し合う。

 

8月4日、郷太さんからの第一案としての大まかなイメージがメールにて送信される。

 

ざっと流れをまとめるとこうなる。

「プロのお仕事」であるから当然なのだが、その作業のスピーディなこと。

 

ジャニーズのスケジュールがなかなか切羽詰まった状態で進んでいくことはなんとなく把握していたつもりだったが、公演1ヶ月前の段階で郷太さんのもとへようやく依頼が来ていることに驚いてしまった。

 

その「第一案」というのも郷太さんのブログに掲載されているのだが、実際に完成したものと比べてみるとかなり変化したことがわかる。

 

郷太さんの第一案で色濃く出ているのは「楽曲の特性を活かしたミックス」だ。

 

例えば「生バンドセクション」と称して「打ち込みではない曲」(打ち込み=実際に楽器を弾かずコンピュータ入力によってデータ音源を用意すること)がまとめられていたり、「バラード・セクション」としてバラード曲がまとめられていたり。

 

実際のセットリストを見てみると、この部分が大きく崩されているのがわかる。

最初の僕のメール案をじっと見てもらえると、この後にメンバーの意見も重なり、まったく変わった部分がよくわかると思います。

郷太さんブログのこの文章からも読み取れる通り、崩された部分にこそメンバーの意見が反映されているのだろう。

メール案については送信した文章を原文そのままに掲載してくださっているので、ぜひ郷太さんのブログで確認してみてほしい。

 

その変化した部分について表にしてみた。

左側が実際のセットリスト、右側は郷太さんによる第一案からの変化だ。

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これをもとに、「39 Symphony」について考察してみる。

 

 

郷太さんの第一案がほぼそのまま活かされた第1楽章

「Orange」のイントロで、私は10周年コンサートのことを思い出していた。

2005年の10周年アニバーサリーツアー「music mind」だ。

V6 10th Anniversary CONCERT TOUR 2005

V6 10th Anniversary CONCERT TOUR 2005 "musicmind" 通常版 [DVD]

 

10周年を銘打ち、握手会をはじめとしていろんな企画で盛り上げられていたファンにとってこのコンサートに臨む際の「10周年だ!!!」という意気込みはとても大きかった。

 

そのコンサートの1曲目が「Orange」。

実際にはこの曲につながるオープニング映像があった。

 

それまでの10年間で彼らが行ってきたコンサートでのロゴが、これまでを振り返るように時系列にそって順番に映しだされる。

 

その映像からつながって静かに、噛みしめるように始まるこの曲のイントロは思いを馳せるには十分すぎて、胸がいっぱいになったのをいまだに覚えている。

 

 

 

2015年、10年の時を超えて「39 Symphony」という形で聴くことになった「Orange」は、あの時の演出を彷彿とさせる形で登場した。

 

導入部の映像のバックに流れているやさしいあたたかな音楽は、あの時使われていたのと全く同じものだ。

当時の映像は「V6のこれまで」をツアーロゴという形で表していたが、新たに用意された映像ではこんな文面たちが代わる代わる映しだされた。

 

ビッグバンが発生してから現在まで推定約138億年

 

地球が誕生してから現在まで 推定約46億年

 

人類が誕生してから現在まで 推定約700万年

 

世界の人口 推定約75億人

 

日本の人口 約1億2500万人

 

1人の人が一生のうちで出会う人の数 約3000人

 

1人の人が一生のうちで運命の人に出会う確率 0.000000008%

 

V6の6人が出会った確率 0.00000000000000002%

 

V6とファンの皆がコンサート会場で出会えた確率 0.00007%

 

V6とみんなが一緒に歩んできた時間 176729時間

 

V6がファンのみんなとこれから作っていく時間 (数字が上がっていきフェードアウト)

 

V6のファンへの気持ち

Thank you

for all do for me

いつもありがとう

 

「Thank you Symphony 39曲 交響楽」

 

「39 Symphony」

 

天文学的すぎてピンとこないような膨大な数字は、「今」がどれだけ奇跡かということの象徴だ。

 

その前提を用意された上で流れ始めた「Orange」のイントロには、たくさんの楽曲の断片が添えられていた。

 

もうこの乗せ方だけでもぐっと来た。

少しくぐもったような音。脳裏の奥底で鳴り響くような1フレーズたちは、まるで一瞬で過ぎ去っていく記憶のようだった。 

 

2005年のOrangeも思いを馳せるには十分すぎたのだが、2015年のOrangeはあれを超えてきた。「思いを馳せる」が過ぎる。

 

坂本「終始ものすごく盛り上がってる感じの中で、さらにじっくり聴いてくれたり、しっかり見てくれてるっていう感覚もすごくある。それは落ち着いてるって意味じゃなくて、見てくださっているそれぞれのお客さんが、僕たちのステージをちゃんと自分自身の思い出と照らし合わせながら、それと一緒に見てくれているって感じ。」

(「ザテレビジョンZOOM!! 」vol.22号/2015年10月2日発売号)

 

20周年のストーリーの導入部分としてこの「Orange」が果たした役割は大きく、一気にあの場が厳かな空気に変わった気がした。

 

空気が張り詰める。

ふと立ち止まる。

 

神経が研ぎ澄まされるような、凛とした空気を放つ。この曲の「走り出す前の一瞬、その集中する瞬間を切り取ったような世界観」が私は大好きだ。

 

 

第一案として郷太さんが提示したこの第一楽章には「クール&ダンス・セクション」というタイトルが付けられている。

その案に「IN THE WIND」が加えられたのが実際に披露された「第一楽章」。

 

「IN THE WIND」は2001年のVolume 6コンサート時のアレンジ、らしい。

 

実際にこの時のコンサートに参加したのだが、さすがに初めてのコンサート・1回しか観ていない・映像化されていない、しかも14年前の出来事だ。

 

当然記憶に残っているはずもなく、「かっこいい〜!!!おしゃれ!大人!」くらいのポンコツ感想しか覚えていない残念な私である。

 

たとえばある年しかやっていないライヴ用の別アレンジ、ヴァージョン違いもメンバーたちは混ぜてみると面白いかも、ということだった。結果的に渡されたデータは、50曲近いものになった。

(郷太さんブログ)

 

この意見を取り入れ、活かされたのがこの「IN THE WIND」。

50曲ほどのデータ、と文章にあることからアレンジされた音源だけでも10曲ほどが郷太さんのもとに渡されていたことがわかる。 

 

少し第一案から変化はあるものの、やっぱりこの第1楽章は「クール&ダンス・セクション」と呼ぶにふさわしい。

 

 

 「クセの強い曲」✕「定番曲」の第2楽章

郷太さん案では第5楽章として「にしこりセクション」というものが提案されている。

構成としては「Sexy.Honey.Bunny!」「kEEP oN.」の2曲だ。

 

V6のシングルを語る上で2011年から2012年にかけての楽曲の存在は外せない。

「Sexy.Honey.Bunny!」「バリバリBUDDY!」「kEEP oN.」の3曲は、一言でいうならクセがすごい。

 

中でもkEEP on.は「怪作」と表現されているのを見かけるが、もうその言葉をはめられたらそれ以外に表す術が見つからない。

どこからどう見ても、いやどう聴いても「怪作」だ。聴けば聴くほど「怪作」だ。

 

オリジナリティが強くメンバーの個性を詰め込んだ結果、1曲なのにまるでメドレーを聞いているかのような曲に仕上がっている。

 

それゆえにどうしても好みは分かれる類の音楽で

「なんだコレ!?意味がわからんぞ…!」となるリスナーもいるとは思う。

特に、単なる「アイドルらしいアイドルソング」を求めている方にははまらないのではないか。

 

どこかの層に激しくはまる楽曲というのは、一方で全くはまらない層も生む。

ということはその楽曲たちを寄せ集めてしまう事は、はまらない層からすると少し中だるみの時間を生むことになる。

 

その危険性を確実に回避する方法としてこの3作に「愛なんだ」と「WAになっておどろう」を混ぜてきたのはとても効果的で、考えれば考えるほど唸ってしまう。

 

立ち位置が難しいのは、実は「愛なんだ」と「WAになっておどろう」も同じだ。

 

一般認知されている定番曲は、ファンからすればもうお腹いっぱいだったりする。

それはこの20周年イヤーでも周知の通りで、音楽番組に出演する際に

「どうせ”愛なんだ”か”WA”なんだろう…?」「またか…」というような空気が何度漂ったことか。

 

嫌いじゃない。全然嫌いじゃないけど、「またか」

 

その「定番曲」と「クセの強い曲」を融合させることで、この第2楽章は絶妙なバランスで新旧が混ざったミックスになっている。

それを受けて「おおお…!」と感情的にただただ唸ってしまう一方で、冷静に考えてもとても合理的なその方法に唸ってしまう。

 

この第2楽章に対して私が感じたのは「楽曲としてどの層にも飽きさせない」、そんなサービス精神だったりする。

 

もちろん単純にファンとの距離を縮めればコンサート会場にいるファンを飽きさせることは決して無い。

繰り返し定番曲を聴かされようが、自分の好みと少し外れた楽曲があろうが、ファンは受け止める。

憧れの対象が目の前にいる、それだけで満足してしまう。

 

しかしその「物理的に距離を近づける」よりももっと手前の段階、音楽のあり方として「どの層にも寄り添うように」。

製作の意図としてそれが含まれているのかは知る由もないのだが、私はこの楽章からそんな愛情を感じた。

 

 

ファンとの距離を縮める第3楽章+第4楽章

そもそも郷太さんがこのメドレー群を全6楽章に分けようとした発端は「円滑に説明・把握するため」ということにある。

 

39曲もの楽曲たちを整理するにあたり、わかりやすくまとめる。

どうせ分けるのならば"6"。

 

6つに分けられた楽章の中で、会場中を駆けまわり「ファンとの距離を縮めよう」とする姿勢が特に伝わるのがこの第3・4楽章だ。

 

この部分の冒頭の映像は「距離」についての数字が並べられた。

間に差し込まれた部分はご愛嬌。真面目なだけでなくネタを混ぜてくるあたり、なんともニクイ。

メンバーの写真が静止画で添えられていたりと、ほのぼのとしていてなんとも和む。映像未見の方はぜひそちらもご覧いただきたいところ。

 

V6がファンのみんなに会いに行った距離 約113,821km(地球約3周分)

 

V6の20年間のコンサート公演数 757回(トニセン・カミセン含む)

 

V6が20年間でコンサートをした時間 1892.5時間(トニセン・カミセン含む)

 

V6が20年間で代々木でコンサートをした時間 412.5時間(トニセン・カミセン含む)

 

V6の20年間のコンサートスタッフの延べ人数 延べ53,170人

 

 

岡田がコンサート中にメンバーのお尻を触る確率 120%

 

三宅がコンサートのMC中に話を聞いていない確率 100%

 

長野がご当地グルメを食べる確率 100%

 

井ノ原がMCで話を盛る確率 ほぼ100%

 

 

V6がコンサート中に全力疾走した距離 286.3km(フルマラソン約6.5回分)

 

メンバーがリハーサルをしている時の距離 100cm以内

 

メンバーが楽屋にいる時の距離 80cm以内

 

メンバーが打ち合わせをしている時の距離 60cm以内

 

三宅の場合 近い…。

 

国立代々木競技場第一体育館のステージからスタンド最後列までの距離 約105m

 

V6とファンのみんなとの距離

いつも そばに

 

この映像の後いきなりメンバーがステージから離れた位置…つまりファンに最も近い位置に散り散りに登場して始まるのが、第3楽章・1曲目の「メジルシの記憶」。 

 

第3楽章のセットリストは、第一案にはまったく無かったものになっている。

例えば「ジャスミン」は第一案では「どこかにハメます」と比較的軽めな扱いになっていたのだが、実際には長めの尺で採用されている。

ちなみに郷太さん第一案でどこに入れるかはっきり決まっていなかったのは以下。

・ジャスミン(第3楽章)

・GENERATION GAP(第3楽章)

・スピリット(第4楽章)

・野生の花(第3楽章)

・自由であるために(第1楽章)

・キセキのはじまり(第4楽章)

( )内は結果的に入ることになった楽章。グレー表記は一瞬のみの登場だったもの。

 

「ジャスミン」と「スピリット」の優遇措置については「10周年以降の楽曲」だったからという面も大きいのではないかと思っている。

 

それに加え、歌詞の世界観。

 

「39 Symphonyについて深く考えてみよう」と思い、一度歌詞をすべて並べてみた。

メドレー音源を流しつつ、自分のタイピング能力では追いつけない部分もあったものの一応ひと通り打ち込んだ。

 

ひどい所などは「あいビリーブゆあスマイル」なんてことになっている。痛い中学生女子のようだ。

いっそ星マークでも語尾につけてやろうか。痛さ倍増すること間違いなしである。

 

それをプリントアウトして一繋がりとして読んだ時に、気になったのは第3楽章の始まりと終わりの歌詞だ。

会えない夜も平気だよ、と 君はあの時空を見上げた

(メジルシの記憶)

ふたり見上げたあの日の空に 君は何を求めてるの?

すれ違いもすべて乗り越えてゆこう

(Believe Your Smile)

はじまりも終わりも、空を見上げている。

ただ決定的に違っているのは主人公の気持ちだ。

信じ続けた僕らの未来

今もまだ 遠い気がしてるよ

(メジルシの記憶)

ふたり選んだ未来のために もう少し強くなるから

この気持ちはもう 変わりはしない 永遠に

(Believe Your Smile)

少し切なくはじまるこの第3楽章は、最後には思い描く未来に確信を持ったハッピーエンドで締めくくられる。

 

また「Believe Your Smile」について。

この曲は郷太さん第一案では39 Symphonyを締め括る一番最後の曲とされていた。

 

私も実はV6のCDを初めて購入したのがこの曲なので、少し思い入れもある。

だが、果たしてこれがメドレー全体を締め括るほどの曲なのか?と考えると少し不思議な気もしていた。

 

この曲を重要視していたのは誰なんだろう、郷太さんのお気に入りなのかな?なんて考えたりもした。

だがどうやら違っていそうだ。

 

メンバーが好きなシングル10曲はコレ 三宅健セレクションより

Believe Your Smile「振り起こしをして、もう一度昔の振りで踊れたらいいなぁと思っている曲です。」

(2015年ツアーパンフ/P66)

 

メドレーの最後に配置すれば、おそらく踊ることになるだろう。

郷太さん案でこの曲がラストだったのはもしかすると「踊りたい」というプランが一番はじめの打ち合わせの段階であげられていたからではないか。

 

流れを組んでいく上で「メドレー全体の最後にするのは違う」となり、じゃあしっかり踊れるところはどこか?と考えると楽章の最後という判断になるのはうなづける。。

 

結果として、すべて踊ることは叶わなかったが最終的にアウトロのギターを弾くようなフリだけが残ったのではないか?

 

…と、ここまでをDVDを見ながら考えていて、ふと思い出した。

 

「あれ?私が観た時って、最後のサビ踊っていなかったか…?」と。

 

よく考えてみると、確かにサビを踊っているのを見て「懐かしいー!!」とテンションが上がった…ような気がする。

 

そこで少し検索をかけて調べてみた。

するとやっぱりこの部分、会場によってはサビから踊っていた。

 

そういったところから考えてみると、やはりこの曲はどうも「踊る曲」として扱われていたようだ。

最終的に映像としては残らなかったが、確かに三宅さんのご希望通り「昔の振り」で披露されていた。

 

 

 

さらに第4楽章。

「over」から始まり「スピリット」に終わるこのパートでは、その2曲に挟まれる形で5曲が組み込まれた。

それらは主に郷太さんの第1案の中で「同じテンポのもの」としてまとめられていたものだ。

一瞬だけ登場したものも含めると、

(2001年)愛のMelody

(2000年)CHANGE THE WORLD

(2003年)Darling

(2002年)Feel your breeze

(2001年)キセキのはじまり

となる。

 

実は挟み込まれた5曲はすべて同時期のものなのだが、郷太さん案の中では「Feel〜」と「キセキのはじまり」はこの位置に組み込まれていなかった。

 

その点からも、時期的なものも考慮した上でこの位置に来たのでは、と考察する。

「どこにでもはめられるけど、どうせならこの位置ではないか?」というようなはめられ方をした気がしてならない。

 

第4楽章としてこの楽曲群を見た時、ここもやはり第3楽章と同じような意味合いを感じてしまう。

道に迷った時でも 逃げ出さない強さ 誇れる自分でいよう

(over)

君が択び君が歩んだ その道を後悔するな

どんな正しい答えよりも 大切なのは スピリット

いつか届く それぞれの未来できっと 笑おう

(スピリット)

第4楽章、この2曲でリンクする部分は「迷うこと」「選ぶこと」「逃げ出さない・後悔しないこと」。

書き出していてなんかこんな感じのフレーズ聞いたことあるなあと思ったら、まさかの大事MANブラザーズバンドだった。

 

応援ソングは結果的にそういう方向にまとまるのだ。

どんなアーティストがどんな楽曲を書こうが言いたいことはそういうことで、それが大事なのだ。

 

この第3・4楽章では前向きな歌詞の前には少しネガティブな言葉もたびたび配置されている。

「泣いて枯れて進めない夜」(ジャスミン)

「自分の価値(イミ)見つけたい」(野生の花)

「ダサくても悩んでいたいよ」(本気がいっぱい)

「通り過ぎる毎日から自由になりたくて」(Believe Your Smile)

これは決してマイナスな意味ではなく、前向きな言葉の前にリアルな感情を置くことによって応援ソングはぐっと私たちの心に寄り添うものになる。

 

進む先を決めるのは自分自身で、これからの未来を描いていくのも自分自身。

その途中で迷うのは当然で、ツライこともある。

でも大事なのはそこで自分を信じてあげること。逃げ出さないこと。

 

 

第3楽章・第4楽章の私の楽曲考察は「V6応援ソングの結晶 ✕ 諸事情」だ。

 

諸事情の部分には「愛メロ〜キセキのはじまり までの楽曲発売年の関連性」や「野生の花〜蝶〜GENERATION GAP」のつなぎの件が含まれる。

 

このパートの楽曲で異質なのは「蝶」の存在なのだが、この前後を合わせて考えると繋がり方がとてもキレイで、うまく入ってスッと抜けていくような自然な溶け込み方をしているのが印象的だった。

 

 

郷太さんの「愛とでも呼ぶべきなにか」

ところで。こんなことをここまで綴っておいてなんなのだが、今から少し「はあ?」と思われることを書く。

 

正直、曲と曲をリンクさせて考えてしまうのはファンの欲目の最たるものの一つだと思う。

 

何でもかんでも関連つけて話したがるし、あることないこと言いたがるし。

都合が良いように判断するし解釈するし、なんだよファンってめんどくせえな!と時々思う。

 

私がブログを書き始める時、頭を整理するために一度要点をノートに書く。

そのノートに戒めとして、定期的に読み返すページに書いてある言葉のひとつが「無駄にストーリーをつけない」だ。

 

考察をつきつめていくとどうしてもそこにストーリー性というか、関連したものを読み取ってやろうとしすぎる傾向がある。本当はそこに意味などなかったとしても。

 

まあそれがファンによる考察のおもしろいところでもあり、めんどくさいな!というところでもあったりする。

突っ走りすぎないように気をつけてはいるつもりなのだが、暴走していることもチラホラ。

だからこそ私のノートには色々と戒めの言葉が並ぶのだ。一度冷静になるために。

 

今回の歌詞のリンク性についても突っ走っては止まり、突っ走っては止まりで考えた。

 

しかしながら考えれば考えるほど、郷太さんが語るV6論を読めば読むほど、このリンク性はやはり存在するように思えてくる。

今回に関しては、V6のこれまでのシングルが聴かせるもの、バラードもかなり多いというのがストーリー作りの難しさでした。 

(郷太さんブログ)

楽曲をただつなぎ合わせるだけでなく、そこに生まれるストーリーまでがしっかりと計算されている。

 

郷太さんのV6理解は、楽曲性や歌唱力、音楽方面に対するものだけではない。

それは一番最初にリンクを貼ったナタリーの記事からも読み取れるし、ある意味では制作サイドにいながら彼らのファンである一面もうかがえる。

 

今回、何が難しかったか、自分の得意技を生かせた部分はというと、バラードの扱いと、歌割りに関する「愛とでも呼ぶべきなにか」です。

(郷太さんブログ)

「愛とでも呼ぶべきなにか」。そんな言葉を持って製作に携わってくださる方がいるのだ。

 

また坂本さん・井ノ原さんの歌唱力の高さを評価した上で、

それはそれで素晴らしいのですが、コンサート、20周年、ということで言うならば、6人それぞれが歌っている「美味しい」部分、見せ場のパートを繋いでゆきたいな、と考えました。
そのあたりの彼らへの「愛」のようなものは、少なくとも音楽家の中では誰にも負けない自信がありました。伝わると嬉しいです。  

(郷太さんブログ)

 

「39 Symphony」は、ある意味で「郷太さんによる"愛とでも呼ぶべきなにか"」の結晶でもある。

 

言ってみれば楽曲をそれなりになんとなく繋ぎあわせ、なんとなくメンバーごとにパートを振り分けたとしても、その場のファンを満足させるメドレーは出来る。

でも、そうはならなかった。

 

シングル曲がTVサイズに編集される時、絶対的に坂本さん・井ノ原さんのソロ部分は他のメンバーよりも多い。

それは初期曲のパート割りの特徴でもあるので、いたし方ない。

 

実際この「39 Symphony」から「純粋なソロパート」だけを拾ってみると、長野さん・三宅さんパートは少し弱い。

でも不思議なことに、トータルとして見た時に「メンバーごとに見せ場の偏りがあるか?」と言えば決してそんなことはない。

 

それは要所要所でしっかりと見せ場があるからこそで、郷太さんの言うところの「愛とでも呼ぶべきなにか」が生み出したものだ。

 

 

「今」をしっかりと見せる第5楽章

この楽章の大部分はどれも近年に発売されたシングルだ。

「君が思い出す僕は 君を愛しているだろうか(2013)」から始まり「Timeless(2015)」、そして「Sky's The Limit(2014)」、「ROCK YOUR SOUL(2012)」。

 

このパートも第一案には無かったもので、意図的に新しいシングルが集められたことは想像に容易い。

 

「これまでを振り返った上で、今の姿を見せる。」

それはある意味定番の流れでもあるのだが、あえてこれを最終楽章にしなかったところは実にV6らしいなと思う。それについては後述する。

 

直近のシングルばかりを集めた「今のV6」パートになぜか入り込んだ「TAKE ME HIGHER」だが、アニバーサリーイヤーの2015年には歌番組で見かけることも多かった。

テレビの前で見ていて「何これ!!!かっこいい!!!」と思わざるをえなかった。

 

そして実際にコンサートで見た私の感想も「こないだテレビで見たやつ!!」だった。

 

ちなみにアウトロパートでステップを踏みながら前後が入れ替わる様を、私は「よっとっとーのヤツ」と心のなかで呼んでいる。入れ替わるタイミングのところがどうしても「よっとっとー」に見えてしまうのだ。

 

そんなかっこよくも「よっとっとー」な、印象的なアウトロパートが見れただけで、私はなんだか「今のV6だ!!」と思ってしまった。

 

シングルとしてはとても古い曲なのに最近テレビで見る機会も多かったからか、受ける印象としては「今V6がテレビで歌ってる、最新の過去曲」のように感じていた。

だからこそ、このパートにこの曲が含まれているのになんだかすごく納得してしまった。

 

ちなみに、それ以外で登場する「MADE IN JAPAN」「Be Yourself!」については第一案の時点で「ROCK YOUR SOUL」や「TAKE ME HIGHER」と同じパートに位置されているので、この辺りのつなぎは郷太さんによる「楽曲性リンク」の名残だろう。

 

 

「感謝の気持ち」がつまった第6楽章

全6楽章の最後のパートが「ありがとうのうた」で終わるのは、当然といえば当然かも知れない。

だがこれもおそらくはメンバー・スタッフからの希望だということは、第一案と比較してみるとよくわかる。

 

郷太さん発案「第6楽章/大団円セクション」は大団円、つまり「物事がめでたく収まる結末」を表現するためのパートだ。

そこにはやっぱりというか、「UTAO-UTAO」と「ありがとうのうた」が組み込まれていた。

 

10周年時に制作されたアニバーサリーソング「UTAO-UTAO」は全編を通してハッピーしか詰まっていないような、平和な楽曲だ。

 

グループとしての絆を見せつけてくれた20周年。

「UTAO-UTAO」を聴いていると、結局今だって10年前だって、彼らがグループとして最大に求められているのはそこなのだろうなと思う。

 

「仲の良さが売り」なんて言ってしまうとそれはそれでしっくり来ない。

だが、提示していきたい、そして提示してほしいと周囲から願われているのは、彼らが織りなすその根底にある平和な世界観なのだろうな、と。

 

ファンがその側面を求めているのも確かで、またV6を売り出していく制作サイドにとってもそれが狙いのひとつであるのは十分にうかがえる。

 

素敵な言い方をするならば、それを見たファンが笑顔になる。

 

あえてやらしい言い方をするならば、お金になる。

ここ最近発売された雑誌や、彼らとの恋愛ゲーム「ラブセン」 を見ていてもつくづく思うのだが「公式がいよいよ気付き始めたぞ…!」感がすごい。隙あらばワチャワチャさせよる。

 

 

とにもかくにも「UTAO-UTAO」の世界観はとても平和で、わかりやすく「たどり着いた想像以上の今」を表現している。

それはまさしく"大団円"だ。

 

そして最後の1曲は「ありがとうのうた」。

説明するまでもない。

39=Thank youの一番最後がこの曲であることこそが、彼らからの最大のメッセージだと捉えて間違いない。

 

たとえば、第5楽章が先にも述べたとおり「今のV6」を表現してあるとする。

もしこれを最終楽章にしていたら、この後に続く「Wait for you」「〜此処から〜」も合わせて「最新のV6」としてもっと大きな楽曲の流れを作る事もできた。

 

「今」を提示して、本編が終わる。

 

それでも十分成り立つのだが、この間にあえて挟まれた実際の第6楽章、「出せない手紙〜UTAO-UTAO〜ありがとうのうた」にはきっとそれ相応の意味がある。

 

「出せない手紙」は映像にリンクしていた。

これについては、おそらく発端となったのは郷太さんによる映像案の

未来の自分に手紙を書く6人(?)。

という部分。

語尾に「(?)」がついていることから察するに、これは元々素材が用意されていたわけでは無く、あくまで郷太さんの思い描いたイメージ・アイデアだったと見られる。

 

そしてあの映像は「当時のスタッフさんから偶然映像出てきたと連絡があった」ということがのちに三宅さんの連載で語られていた。(「TV station」2015年11月18日発売号)

※この記事の公開時にはこの発言がどこで誰がしたものか思い出せなかったんですがasumiさんから情報をいただきました。ありがとうございます!

 

このことから考えると「郷太さん案で"手紙を書く6人"が出る」→「スタッフが映像を見つける」→歌詞とピッタリ一致していたのでメドレーのキモとして採用、ということだと思う。

 

本当に無邪気に、先のことなど何もわからず文章を綴っていた約20年前のV6。

ふざけているメンバーもいて、見ていて少し笑ってしまう。

 

だがこの時、17歳の三宅さんが書いた文章はとても真っ直ぐなものだった。

それをなんとも言えない幼い声色で読み上げる姿を見て、何も感じなかった人はいなかったはずだ。

 

「先のことなんてどうでもいいと思う。

運命を切り開いていくのは僕達だから。

もっと僕自身、みんな自身、わかりあえて、V6ってすごいじゃんって言われるようになりたい。

おしまい。」

 

メインステージの大画面に映し出されたこの映像を、6人は見上げる。

そしてその後、正面を向き「出せない手紙」を歌うのだ。

 

「僕らはずっと」から始まる出せない手紙のサビの歌詞は、青春時代特有の青くさい「そうありたいという願い」も含まれた「変わらないもの」を表現している。

 

だからこそデビュー直後の若かりし頃の映像にもピッタリはまるし、そこから見せられる「今」のV6の姿に異常なほど感動してしまう。

 

過去の映像を後ろを向いて見上げ、そしてまた正面を向き歌いだすというこの演出。

「過去を懐かしみながら前を向く」、そんな心理状態を目に見える形で表現しているようだった。

 

コンサート中何度も涙が出たが、一番鳥肌がたったのはここだ。

 

この曲は三宅さんが出演した「ネバーランド」の主題歌でもあり、あのドラマは本当に青春時代特有の世界観のものだった。

ちなみにこの時三宅さんが演じていた役も17歳だ。

そのドラマに合わせて制作されたとも言っていいこの楽曲は、ドラマの原作者・恩田陸氏による作詞で、世界観がリンクしないわけがない。

 

またV6にとって、シングルとしては初の本格的なバラード楽曲でもあった。

1つ幅が広がった、そんな意味のある曲だ。

 

この第6楽章が織りなす世界観。

3曲のみで構成されたこの中だけでも、とてもストーリー性がある。

「出せない手紙」でデビューしてまもない頃の不安定ながらもがむしゃらだった「過去」を。

「UTAO-UTAO」でそんな青くさい時代を経過し、今たどり着いた「奇跡」を。

「ありがとうのうた」で、その中で感じた「感謝」を。

 

この「感謝」の部分、それがおそらくこのメドレーの中で一番伝えたかったことなのだろうな、と私は考察する。

 

森田「とにかく始まる前から、ちゃんと『ありがとう』を伝えられるコンサートにしたいってメンバー同士で話していて。ツアーも終わって、それがちゃんとできたかなって思う」

(「ザテレビジョンCOLORS」vol.19/平成27年12月24日発売号)

 

「ありがとうのうた」のパート割りは、音源とは少しだけ変更されている。

それによってこの曲はフルコーラスでの披露ではなかったものの、全員が1フレーズずつソロを担当した。

 

全員がしっかりとソロを持つことで、1人1人からしっかりと伝える。

それぞれが歌声の個性を活かすという意味ではなく、伝えるためのソロパートだった。

 

 

 

今回私は、DVDを見てというよりはレンタルのみでリリースされたCD音源のほうを聴いて「39 Symphony」についてもっと掘り下げたくなった。

映像としてはもちろん、純粋に音楽として聴いてみても本当に素晴らしいメドレーなのだ。

 

DVDを買うよりもずっとずっと安く、手を出しやすいと思うのでまずはぜひ音源としていろんな方に聴いてみてほしい。

そしてもっと気になる、映像が見たい…!そう思ったらぜひ映像作品もお手にとっていただきたい。絶対に泣ける。

 

LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(通常盤)(Blu-ray Disc2枚組)

LIVE TOUR 2015 -SINCE 1995~FOREVER-(通常盤)(Blu-ray Disc2枚組)

 

 

 

結局「39 Symphony」とは、何か。

 

「39 Symphony」とは、

メンバーからの20年分の感謝と、郷太さんによるV6愛とも言えるべき何か、が最大限に詰めこまれた素晴らしい音楽群である。

 

 

 

 

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