滝沢歌舞伎2016、初日。
無事に閉幕した直後、観劇された方々のレポートから伝わってきたのは熱気と興奮と、「凄いステージになっている」という様子だった。
まだまだこれは初日の話で、きっとこれからたくさんの人が会場でその光景の目撃者になる。
私は残念ながら観劇予定がないけれど、これから毎日のように各方面からレポートが上がってくるのだと思えばそれだけでもワクワクした。
翌日にはワイドショーでも取り上げられ、映像でも少しだけ確認できた。
予想はしていたが、やっぱり際立つ太鼓の異様さ。
「2人乗りの太鼓」だということは事前にわかっていた。
そもそも「2人乗りの太鼓って何?」と、その響きがもう面白くて仕方がなかった。太鼓って、乗り物だったの?
太鼓映像を何度も見ているとだんだんと「こういうボスキャラいるよね…」みたいな気持ちになってきた。
なんというか、中央に本体があって周りにわらわらと居るあの感じ。スーファミ時代のボスっぽい。
太鼓以外のシーンも、映像をチラ見しただけでも圧倒された。
ああかっこいいなあ、すごいなあ…と思いを馳せたあとで毎回私に襲いかかる「2人乗りの太鼓」というパンチの聞いた響き。
やめてくれ、私をニヤつかせないでくれ。
初日の2日前には「ケンタッキー」コンビとしてケンタッキーフライドチキンのCMに出演することも発表された。
滝沢歌舞伎内で披露される「LOVE」は、滝沢秀明作曲・三宅健作詞。
V6もタッキー&翼も所属レコード会社はエイベックスなので、「これはケンタッキーコンビでCDを出すのも夢ではないのでは?」なんて浮き足立ってみたり。
そんなこんなでウキウキしていた中で飛び込んできたのが、まさかの三宅さん負傷の一報だった。
4月12日、昼公演のフライング時に負傷。
しかもこの日は夜公演もあった。
開演時間は押し、事前に滝沢さんが登場して「健くんが足をケガした」という説明をした上で幕は開く。
公演内で三宅さんからケガへの言及はなく、唯一あったのは右足のケガを「犬に噛まれた」とネタにした場面と、滝沢さんとの会話内での「至らない所があって申し訳ない」という言葉だけ。
演目に変更はなかったものの演出変更はやむをえず、開演時間を遅らせたことも相まってケガの程度が決して軽いものではないのだということは感じ取れた。
そして翌日朝には「三宅健負傷」の内容はスポーツ紙に載り、関西では芸能ニュースでも少しだけ取り上げられた。
今後も公演はそのまま続けられる予定だということ、また一夜明けた今日あらためて病院で診察を受けるということ。これがこの時点でわかっていた情報だった。
V6の三宅健(36)が舞台出演中に右足親指を骨折し、全治3カ月のけがを負っていたことが13日、分かった。12日に上演された滝沢秀明(34)主演の舞台「滝沢歌舞伎2016」(東京・新橋演舞場)の昼公演でワイヤーアクションの着地の際に右足を負傷。13日、病院で診察を受け、全治3カ月の「右母趾基節骨骨折」と診断された。
母趾(ぼし)とは、親指のこと。12日の夜公演では滝沢が観客に「健君が足をケガしました」と説明していた。
公演開始3日目で右足親指を骨折。
足の親指の大切さなんて改めて私が語ることでもないが、少し調べてみると「足は親指、手は小指」という格言があるほどだ。
ステージに立って演じる、ましてや踊る、そのことで一体どれだけ負担がかかるのだろう。
三宅健とダンスと滝沢歌舞伎
先日のラジオ内で、今回のダンスの難しさが語られていた。
正に稽古や準備に、追いに追いに追われてるわけですよ。追われまくってますよ本当もう。これね、もう語ったら長くなっちゃうんだけど。今までで一番やることがたくさんあるから、一番忙しいかも。この一ヶ月。
でもね、まだわからないです僕も。全然出来上がってないし、稽古途中の物もあるし、まだ稽古が出来てないものも沢山あるので、わからないんですけど…まぁー凄いですよ。ほんとに。
まぁ、1つある曲で僕が、ダンスをするのがあるんですけど。そうだなあ、この20年間V6をやってきて、今までつけてきて貰ったどの振付よりも、今まで振り付けしてもらった中で一番難しい。もう、こんな難しい振付はあるのかっていうぐらい難しい振付で。
でも恐ろしくかっこ良くて、これが出来たら本当に素敵だなって思ってるんですけど、まぁ相当難しいんで、初日までにちゃんと形になるのかどうか僕は不安でしょうがないですけど。
これはね、あのー…そうだなあ、僕がちゃんと、僕の思い描くどおりにできていれば、僕のファンの人はもう絶対に…キュン死にですよ。(※ニヤッとしている感じの口調)
キュン死にっていうかね、あぁキュン死にって感じでもないな。心臓を鷲掴みですよ。うん。
だからな〜、見て欲しいんだよな~みんなに絶対。
見て欲しいんだよなぁ~…あともう一つはちょっと僕はまだやったことがない、やりたかったことでこう一つ新しい心にはあってソレも面白いと思うし、とにかくやることが多すぎて、「あ!やってなかったこれ!」とかっていうことが出てきそうなぐらいやることがいっぱいあるから、わたくし今、非常に、テン・パリ男です。(※自分でテン・パリ男とか名乗ったくせに言った後で息だけでフッて笑っちゃってる)
(「三宅健のラヂオ」/2016年3月28日放送)
初日に流れてきたレポの数々を見ている限り、きっと三宅さんの言う「僕の描くとおりにできていれば」は少なからず達成できているのだろうなと思った。
実際にキュン死に・心臓鷲掴みな言葉をたくさん目にしたし、嬉しいことに三宅さん以外のファンの方のそういった言葉も目にした。
本人が思うところの「完成形」、満足度は本人にしかわからない。
でも確かに観客には伝わっている。
その様子がとても嬉しかったし「よーしもっといろんな人に発見されてしまえ!」と思った。
正統派ジャニーズ舞台とは無縁で20年以上走り続けてきた三宅さんだが、ここはあえて「三宅健が満を持してジャニーズ舞台に」、なんて言っていたいものである。
その「もう、こんな難しい振付はあるのかっていうぐらい難しい振付」をされたのは、ダンサーのYOSHIEさん。
三宅さんは以前、YOSHIEさんについてこんなことを語っていた。
お手本にしてるダンサーさんか。
僕が好きなのはYOSHIEさんていう女性のダンサーの人がいるんですけどその人が大好きで。本当にもう、そんじょそこらのメンズのダンサーより、トッポイって言うような踊りをする人で。いまだに現役でやってらっしゃって、メチャクチャかっこいいですね。世界大会で何度も優勝してて、フリースタイルで。凄いカッコ良かったですねその人は本当に大好きですけど。
僕のソロで、ミスチルの「こんな風にひどく蒸し暑い日」っていう曲を歌わせてもらったことがあって(※2005「music mind」コンサート)
その時の振付をこのYOSHIEさんにやってもらったりとか。あとは何やったんだっけ、6人ではまだ一度もやってもらったことがなくて…カミセンの「ROCK THE HOUSE」をつけてもらったりしてるんですけどね。
その人はほんっとにかっこいいですね。
(「三宅健のラヂオ」/2015年5月11日放送)
今回三宅さんがケガをしたあと、YOSHIEさんはインスタグラムにてこんなことを語られていた。
「ダンサーである私がソロで躍るなら!ぐらいのかなり難しい振り付けをしました。他にも覚える演目もかなりある中、三宅君は来る日も来る日も練習してくれました。私が海外だったので見れなかった時もアシスタントと一緒にクオリティーを上げる為に猛練習してくれました」と稽古の様子を語り、「しかし、そんな彼が舞台2日目にフライング中のアクシデントで怪我をしたと聞き目の前が真っ暗になりました」という。
そんな中で観劇したYOSHIE氏は「立ってるのがやっとなはずなのに彼は踊ってます。心から精一杯舞台で表現しています。。。彼の努力を見て来たから、悔しさを思うと、、、本当に胸が熱くなりました。滝沢さんをはじめジュニアの皆さんスタッフの皆さんも全力でアクシデントをサポートし素晴らしい舞台を作り上げてました」と話す。
実際に振り付けをした上でその練習ぶり、そこにかける熱意を目の当たりにしてきた方からのこの言葉。
三宅さんのダンスにかける貪欲な姿勢を「尊敬すべきダンスバカ」と称されていて、涙が出そうになった。
大好きなダンサーさんに付けてもらった、最高にかっこよくて最高に難しい振り付け。
「だからな〜、見て欲しいんだよな~みんなに絶対。」
そんなことを語っていた自身が、きっといちばん悔しい。
前々から三宅さんのダンスへかける想いは相当なものだった。
よくメンバーからも言われているのが「三宅はとにかく踊りたがる」という話。
その考えは度々自らの口からも語られていて、中でも印象的なのが2011年の三宅さんの発言。
友人と一緒にBIGBANGのライブを観に行くことになり、その際にV6のメンバーがあまり他のアーティストのライブを見くタイプではないので誘ってみることにした。
「みんな興味無いから来ないだろうなと思ったんだけど、意外とみんな来て。まあ来れない人もいたんですけど。」
三宅さんの隣で軽くリズムを刻みながら観ている森田さん。
その隣で微動だにせず「2時間1回もビートを刻んでるのを見なかった」という長野さん。
坂本さんは1人ずっと立ったままで、バラードになると周りは座っていたのに、いわゆる「聴かせる曲」を食い入るように見ていた。
三宅さんの語っているこんな感じの内容から、どうやらこの4人で観に行った様子。
一番気になるのは微動だにしない長野博。
なんだろうこのじわじわくる感じ。
人が人なら「微動だにしない」が「感じの悪い態度」のような気がするはずなのに、想像するにきっとそんな感じではなくて、なんだろうこの絶妙に長野博らしくて長野博らしくないこの語感。
ちょっと楽しくなってしまったので話がそれた。
三宅さんがメンバーを誘ったのは「何かの刺激になればいいな」と思ったことに加えて、最初から最後までほぼ踊りっぱなしだというBIGBANGのライブから「ファンが求めているもの」を汲み取って欲しいという理由からだった。
みんなファンの人が求めている物を何で分からないかなっていう、もちろん近くに来てくれるっていう気持ちも凄く分かるし、それもあると思うの。
でも基本的に自分たちが「これ以上いったら吐いちゃうんですけど」っていうくらい踊って、そのぐらい踊ってファンの人にはちょうど良いというか、満足度が満たされるっていう事だと思ってるんですよ僕は。だから僕はいつも踊ろう踊ろうってとにかく踊りまくって、極力ね。
もちろん外周に行って近くに行ってあげるのも大事だけど、歩いたりとか、お手振り曲を減らしましょうっていうのが僕の思いなんですよね。
(「三宅健のラヂオ」/2011年6月6日放送)
ダンスが好きなのはもちろんだが、その裏にあるのは「見せる」ことへのこだわり。
「求められているもの」を確実に届けようとするその気持ち。
私が三宅さんを「プロアイドル」と言うことの理由のひとつはこれだ。
ふと、最近聞いて印象深かった言葉を思い出した。
「自分が酔わなければ、人を酔わせられない」。
これを誰が語っていたのかというとIKKOさんである。
たまたま見ていた番組だったのだが、その言葉がとても響いた。
これはもともとIKKOさんが心の師匠と慕う池田重子さん(日本を代表する着物コレクター、着物を通して女性の美学を広めた)の言葉。
IKKOさんは「自分"に"酔っていてはダメだけど、自分"が"酔うことは大事」と語っていた。
これはきっと「魅せる」「表現する」職業に対しても言えることのように感じた。
私が芸能人から受ける印象としていくつかのタイプがある。
その1つは「自分に陶酔しきっている」タイプ。
いわゆるナルシストであったり「自分が一番!」という、いかにも芸能人らしい芸能人だ。
でもその逆で「あえて”自分で自分に酔う=自分が酔う”ように意識を持っていく」タイプも確かにいる。
一生懸命尽くしてパフォーマンスをつくりあげること。
きっとその延長線上には「自分が酔う」という項目もあって、だからこそ観客は惹きつけられるのかもしれない。
「自分が酔う」、そのために努力を惜しまない。
私が好きになるのは大体そういうタイプが多い。
ステージ上でパフォーマンスをしている時は本当にかっこいいのに、ひとたびそのスイッチがオフになるとなんともゆるい。
「仕事」としてステージに立っている、そんな職人タイプが私は好きだ。
タッキーが見せる滝沢歌舞伎への姿勢
滝沢歌舞伎での三宅さんの姿に心を射抜かれているファンは多い様子。
今回の滝沢歌舞伎で見る三宅健は、言ってみれば滝沢プロデュースによる三宅健だ。
滝沢「スタッフ目線の三宅健さんとはまた違う、僕が知ってる健くんを自然と作品に反映させることで、それが作品の、そして健くんの新発見につながると思うんですよ。逆に健くん自身の発想も提案していただきたいし。普段V6としてパフォーマンスしている中で、こういう自分を表現したいっていうのもお持ちだと思うから。そんな健くんも見てみたいなと。」
(「BEST STAGE」/2016年4月号)
滝沢「この作品でV6の健君とは違う、もうひとりの”三宅健”という男性の姿が見えた瞬間をファンの方も喜んでくださると思うので、そんな部分が一緒にやることによって自然に出てきたら楽しいなって思います。」
(「STAGE navi」/2016年3月26日号)
ファン心理に近いところ、自分目線だけでなくファン目線からの意見を汲もうとするところは、ケンタッキーに共通した部分だと思う。
三宅さんはよく「ファンが見たがっているもの」を汲み取って用意してくる。
それは自分についてだったりグループについてだったり。とにかくファンが求めているものを出してくる。
「なんでこんなにファン心をがっしりと掴むものを用意できるんだ!?」と思ったら、後出しの情報で「実は三宅健発案でした」と発覚することも少なくない。
V6の中に「V6ファン」を自称するメンバーがいるのだから、こちらとしてもこんなに心強いことはない。
俯瞰の視点から、求められているものを考えながらプロデュースができる。
ケンタッキーコンビは意外性バツグンの組み合わせだったが、もしかすると、というかもしかしなくても、いや確実に、バツグンに相性のよい組み合わせなのではないか。
それもこれも、「健くんに滝沢歌舞伎に参加してほしい」と発案した滝沢さんの功績だ。
それがなければこの化学反応も生まれなかったわけで、本当にもう滝沢秀明すごい。
よくぞ三宅健にオファーしてくださった!としか言いようがない。
「座長としての滝沢秀明」が見せる姿は、また一段とかっこいい。
三宅さんがケガをした翌日、ジャニーズウェブにて滝沢座長はこんなことを書いた。
「歌舞伎ファミリーの皆さんへ」のタイトルで、「一部内容の変更はありますが、最高のパフォーマンス、最高な夢の時間は変わりませんのでご安心ください」と宣言。続けて「何があっても、その時に出来る最高な時間にするのが滝沢歌舞伎のカンパニーです。楽しみにしていた健君ファンの皆様も安心して下さい。滝沢カンパニーはカッコいい三宅健君をお見せしますし、健君も最高な思いを皆様に届けてくれると思います」と三宅ファンを気遣った。
「笑いあり、涙なしの今回のステージをお楽しみ下さい。健君の背中を見ながら俺が守り抜きますよ」、この言葉で滝沢秀明に惚れない三宅さんファンはきっといない。
先輩を立てた一歩下がった立ち位置を守りその背中を見ながらしっかりと先輩を守り抜く、そう言ってのける滝沢さんがかっこよすぎる。
惚れないわけがないしついていかないわけがない。
滝沢歌舞伎はきっといままでもこうして成り立ってきたのではないだろうか。
公演中、演者はみんな座長・滝沢秀明についていく。
その背中を見て、何かを得るのだろう。
でもそれはきっと観客も同じな気がした。
ステージとしての完成形を楽しみながら一座をまとめ上げるその姿に、その背中に、あの場にいる皆が憧れるのではないか。
12日昼公演で三宅さんが負傷し、その日の夜公演は三宅さんソロの場面を変更せざるをえなくなった。
三宅さんは椅子に座ったまま上半身だけでのダンスに変更。
その脇では三宅さんが踊っていた振りでSnow Manの宮舘涼太さん・佐久間大介さんが踊り、サポートした。
三宅「今のJr.の子たち、全然知らないんだよなぁ。」
滝沢「大丈夫ですよ。どんな現場でも動じず対応できる子ばかりですから。」
(「STAGE SQUARE」vol.19/2016年2月27日発行)
この滝沢さんの言葉からはJr.に対する信頼感が見て取れる。
「どんな現場でも動じず対応できる」、まさかこんなかたちで発揮されることになるとは。
結局この2人が代わりを務めた演出だったのはケガをした当日夜の公演のみだったらしい。その事からも本当に急なアクシデントを受けての応急処置的な対応だったことが感じられる。
ちなみに今日(4/17)現在までで三宅さんとの絡みが目立っているのが佐久間大介さん。
彼が非常におもしろい。もうここだけ最終的にまとめたいレベル。
「佐久間のこと好きですか?」と自ら聞く、三宅さんの楽屋に本人より先に入り込みストレッチをしている、三宅さんが酸素カプセルに入っていたら覗いてきて「一緒に入りますか?」と言う(※1人しか入れないのに)、などなど。
毎日のように飛び込んでくる「健くん!」から始まる佐久間くんレポート。
自ら「佐久間」をグイグイ突きつけてくるこの姿勢。
もうおもしろくてたまらない。
Snow Manについては事前にこういった話を目にしていた。
滝沢「いじられキャラは深澤(辰哉)ですが、実は稽古場で一番仕切ってます。要注意は佐久間(大介)ですかね(笑)」
三宅「なるほど。気をつける(笑)。こんなふうにJr.と絡むのって初めてだから、どうなるのか想像つかないよ。」
(「TV LIFE」/2016年3月23日発売号)
事前に要注意人物にあげられていた佐久間氏。
しかしながらものすごい勢いで三宅さんに絡んできているのでもはや気をつけようもない。
もうどうにも佐久間くんは止まらないだろうし、どうか止まらないでほしい。
ファンとしても「三宅さんがJr.とどう絡むのか?」というのは想像できなかったところで、まさかこんな絡み方をするなんて思っていなかった。
だからこそとてもおもしろい。どうぞもっとやっていただきたい。
滝沢さんが後輩から慕われている、というのは以前から耳にしていたのだが、今回「滝沢歌舞伎」について情報を辿るうちにいろいろなことを知った。
そのエピソードの数々を見て「そりゃあ慕うわ」と納得するしかなかった。
「Jr.を育てている」と言われることに対して滝沢さんはこんなことを語っていた。
先に言っておくが、最高にかっこいい。
僕は育ててないですよ。みんなが自分で育たなきゃいけないから、「やろうぜ!」と言ってるだけで。彼らに「君には代わりはいないんだよ」と伝えて、「俺がこの作品にいなきゃダメなんだ!」という意識に変えていく。だけど実際は僕が変えているようで、自分たちで変わっていってるんですよね。じゃなかったら、僕、大変ですもん(笑)。結局は、人って自分で変わらないとやる意味がないから、僕はきっかけをあげるだけ。僕もかつては先輩の背中を見るしかなかったので同じですよ。だから「俺は文句は言わないから、お前らも言うなよ。そして俺が倒れるまで、お前らも倒れるなよ」というのを体で見せるだけですね。
(「TV navi SMILE」/2016年3月28日発行)
何度でも言おう。最高にかっこいい。
肝心なところは本人たちに任せる。でもしっかりと背中を見せる。
無理矢理高度なことを要求してとりあえずやらせる、といったような上っ面での育成ではなく、本質、彼ら自身の育成。
育ててない、なんて言いながらこんなの育てていないわけがないじゃないか。
しかも「自分自身の姿勢をもって教える」それをしっかりと実践しているのだから、憧れないわけがないじゃないか。
河合郁人さん・有岡大貴さんがJr.時代、舞台でふざけていて滝沢さんに怒られたことがあるらしい。
「誰の舞台だと思ってるんだ?」と聞かれ「タッキーの舞台です」と答えたところ、滝沢さんはこう答えたそうだ。
「違うだろ!これはみんなの舞台なんだ」
かっこよすぎてぐうの音も出ない。
思わず窓をガラッと開けて「か、か、かっこいいー!!!」と叫びたい衝動にかられる。実行する勇気はないが。
やっぱり慕われる人には相応の理由がある。
後輩が滝沢さんを慕うように滝沢さんもまた後輩を信頼していて、その関係性が「滝沢歌舞伎」を作り上げている。
滝沢「じゃあ、ここで健くんに”滝沢歌舞伎あるある”を1つ。結構スリリングな演出が多いんですが、セットの土台を大体Jr.が担当するんです。つまり、セットを支えるのがJr.で、その上に僕や健くんというメインどころのキャストが乗る。だから、本当に彼らを信頼してやらなきゃいけなくて。」
三宅「へぇ~、そうなんだ。」
滝沢「で、彼らも責任を持ってやってるので、ちょっとでもミスがあったり、タイミングがずれたりすると、ケンカになるんですよね。」
三宅「誰がケンカになるの?」
滝沢「Jr.同士で。」
三宅「おまえのせいだ、みたいな?」
滝沢「おまえがもうちょっとこっちやってくれないから、みたいな。本気だからこそ、ぶつかり合うんです。」
三宅「そういうとき、滝沢は?」
滝沢「終わるまで見守ってます。なので、健くんにもJr.のことを信じてやっていただきたいな、と。」
三宅「信じられないかも(笑)。」
(「月刊TVガイド」/2016年3月24日発売号)
最後こそ笑いにしてしまっているが、その気持ちはきっと三宅さんもしっかりと受け取っているはずだ。
でなければ全治3ヶ月という、足を引きずるような状態の中でフライングなんてできない。
ケガをした翌日にはフライングも再開された。
「クララが立ったー!」ならぬ「三宅が飛んだー!」である。
三宅さんを飛ばせたのは、ただ単に本人の「やりたい」という気持ちだけではないような気がした。
滝沢歌舞伎のカンパニーがつくるあたたかい空気と、まわりの期待に応えたい、完璧に近い最高のステージをしっかりと届けたいという気持ち。言ってみれば「誰かのために」という感情。
きっと三宅さんは公演中、大なり小なり無理をするだろう。
ファンとしては心配したいところで、心配してしまうのがファン心というものだ。
しかし全治3ヶ月ということが判明した直後の公演挨拶で三宅さんはこう言った。
皆さん、今日は本当にどうもありがとうございました。僕は、昨日怪我をしてしまって、僕の怪我でファンの皆さん、関係者各位、いろんな方にご迷惑をおかけしたと思いますが、私は、まったくもって元気なので、皆さんご心配しないでください。最後までこのキャストで、滝沢歌舞伎2016を成功させたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
勝手に心配するのがファンなら、「心配しないで」と言われて「じゃあ心配しない」と言うのもまたファンである。
だから、心配はしない。
Show must go on.
ショーは続けなければならない。
「最後までこのキャストで」、その言葉にはしっかりと三宅健が含まれている。
滝沢歌舞伎、カンパニーの一員としてしっかりと最後まで舞台に立つ。
その姿がいろんな方の心に響くことを願うばかりだ。
三宅「今回未知なことばかりという意味での心配事は多いですが、それ以上に、自分の可能性に期待していますから。」
(「STAGE SQUARE」vol.19/2016年2月27日発行)
本人が自分の可能性に期待しているのだから私はそれ以上に期待していたい。
まだまだ、もっともっと期待してやる。
「笑いあり、涙なし」これが今年の滝沢歌舞伎において開演前から滝沢座長が掲げていたこと。
だとしたら観劇する方にはぜひ笑って楽しんできてほしい。
何も言わなくても、笑顔から伝わることはきっとあるはずだ。
…なんて言っておいて私自身が観劇するとしたら絶対に泣いてしまうのは間違いないので、偉そうに言える立場ではないのだが。
泣いてしまっても最後にはたくさんの笑顔で溢れるような、素敵な場所になることを願っている。
毎日流れてくる観劇レポートを見ながら滝沢歌舞伎を楽しむ日々はまだまだ続く。
アクシデントを乗り越えたその先、千秋楽を迎えるその時に果たして滝沢カンパニーはどんな表情を見せてくれるのだろう。
楽しみで仕方がない。
*無事全公演が終了したので、三宅さん佐久間くんまとめと滝沢歌舞伎について思ったこと総括。